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2005年10月15日
バルブマンの誉れ

このブログに「まわる温泉」を書いて以来、以前にもまして、受講生からは「どこの温泉がいいですか?」「どこで回れますか?」という質問ばかりになっている。あれ以来、心理学に関する質問をされたことがない気がする。
個人的に言えば、「いったい私は何の会社を経営しているんだったっけ?」という状態の毎日である。
私は、天下の名湯と名高い有馬温泉の近所に住んでいるので、有馬温泉に関するお問い合わせが特に多く、毎回、毎回、一から説明するのに疲れ果ててしまったので、今回、思いきってブログに書くことにする。
ということで、今回のブログは「温泉レポート」だと思っていただいたらよいかと思う。

まず、有馬温泉について語りたいと思う。
我が家には温泉に関係する専門書から温泉紹介のるるぶ、マップルにいたるまで温泉関係の書物が500冊以上あるが、その中のどの本にも有馬温泉のことを詳しく語っているレポートがないのである。
東の横綱と言われている草津温泉に関しては、事細かにレポートされている書物がたくさんあるのだが、なぜか西の横綱の有馬温泉に関してはさびしい限りなのである。
そこで、今回は、私のホームグラウンドが有馬温泉なので、有馬温泉の詳しいレポートを書いてみる。

まず、有馬温泉の一番の特色は濃い?温泉であるということが言えると思う。
温泉には、必ず温泉分析表という温泉の成分分析をした表がある。
分析表上でいうと日本の温泉は、1kg中約4gの温泉成分が入っているのが平均値であると言われている。
ところが有馬温泉は、天神源泉をはじめとしてだいたい60gの成分が入っているのである。
日本で入れる温泉で一番成分が濃い温泉はたぶん有馬温泉だろうと言われているのである。
泉質は、強食塩泉で鉄分が多いため、赤茶色の強力に塩辛い味覚のする温泉になっている。
ただし、有馬温泉の弱点は湯量が少ないために大規模な露天風呂や大きな湯船とは縁遠いことである。
有馬温泉の中には、みなさんが温泉地にイメージするような大きな露天風呂や湯船がいくつもあるという大型浴室スタイルの旅館もあるにはあるのであるが、そのほとんどが温泉を20倍から、ひどい場合になると50倍程度に薄めたような温泉になってしまっていることが多く、もし、私のように泉質を求める温泉マニアの方にはまったくお勧めできない状況となっているのである。

私が温泉に求めるものはきれいな浴槽でも、りっぱな露天風呂でもなく、ただ、極上の泉質なのである。(泉質がよくないと回れないからである)
施設やロケーション等まったく眼中にないので、そのことを含んでいただいたうえで、お湯のすばらしさだけを参考になさりたいのであれば、以下の平準司が選んだ泉質ベスト5を参考にしていただけたらよいと思う。
第1位 上大坊(かみおおぼう)
有馬温泉のとっても小さなくたびれた旅館であるが、泉質は有馬一、というか、天下の名湯と言われた有馬温泉は、ある意味ここだけしかないのかもしれない。
湯船は5人も入ればいっぱいになってしまう金泉と呼ばれている有馬一の強食塩泉の湯船と有馬ではもうここだけしかないかもしれない銀泉と呼ばれている炭酸泉の小さな湯船の2つだけしかない。
金泉と呼ばれる天神源泉からひかれたお湯をそのまま何の加工もせず、ちょろちょろと流入した湯船はほとんど、どろ風呂である。
温泉マニアでなかったら、「なんと汚い湯船だろう」と思うくらい濃い湯なのである。
ただし、あまりの塩分濃度が濃いため、まるで死海に入っているかのようにここのお湯は体が完璧に浮いてしまう。
もし、行かれることがあるのであれば、一度この湯をなめていただきたい。とてもなめられたものではないくらいのえぐい塩味がするのである。
そして、どうかこの味を覚えておいていただきたいのである。
この湯が100%の有馬温泉で、私は桶にこの湯をくんで、加水して色の変化や味の変化を調べ、ほかの有馬温泉がどれくらい加水された湯なのかを調べる基準にしているのである。
太古の昔から多くの人を癒してきたであろう天下の名湯・有馬温泉の太古の昔からのそのまんまの湯がここでは味わえる。

日帰り入浴は15:30?18:00まで。平日のみ。1,000円。
宿泊は、一泊朝食付き 10,000円?。二食付きはおすすめできず。
日帰り入浴の場合は必ず、問い合わせをされた方がよいと思います。臨時定休日多数あり。

第2位 楽山(らくざん)
ここはたぶん、入れる温泉では日本一濃い温泉であろう。成分総計が平成16年度分析表で68gある。
有馬温泉は不思議な温泉地で先ほど書いた上大坊が使っている天神泉源の付近数百メートルしか高温泉が出ないのである。
そのため、ここの泉源は、源泉温度が26度しかないので、加熱ではあるが、日本一濃い源泉の入浴が可能である。加熱が必要なために循環風呂にはなっているが、源泉がすばらしすぎるのであろう、湯のパワーはほとんど落ちてはいないので、掛け流しではないが、第2位に推薦する。
ここの湯船も2人も入ればいっぱいになるのであるが、なめてみられるとこの世にこんなまずいものがあろうか?というくらいえぐい味がするのである。
ここも成分が濃いため、湯船の中で浮いてしまうのである。
もし、手にキズのひとつでもああれば、30分もつけていればものの見事に回復してしまうのにはびっくりである。

日帰り入浴は、14:00過ぎ?16:00時すぎまで。要問い合せ。1,050円
宿泊は、素泊まりや朝食付きのみ受け付けてくれるので、10,000円前後で泊まれる上大坊と同じくリーズナブルな宿である。

第3位 日帰り入浴施設 康貴(こうき)
ここは、有明源泉を使う加水なしの100%天然温泉の日帰り施設である。
銀泉はラジウム泉でだいぶ傷んでいるが、金泉の湯力はすばらしい。
有明源泉は天神源泉や楽山の自家源泉に比べるとやや薄めではあるが、なめてみられると、ここの湯でも十分に塩辛い。
ここはメンタルご用達の温泉で、セミナー明けにここに行くとメンタルの受講生の人がたくさん浮いていたりする。
メンタルの人が有馬に行く、というのはほとんどの場合この康貴の湯に入ることを指すのである。
玄関前には無料の足湯があって、私は毎朝ここの湯に入ってから事務所に出勤することが多い。平が自宅のお風呂のごとく使っている温泉なのである。
日帰りのみ 10:00?18:00。1,000円。金曜日定休日。
先ほども述べたように、有馬では湯量が少ないので源泉の確保が大変なのであるが、ここはもと森永の保養所であったところを竹取亭が買い取って日帰り入浴施設として開放しているところで、有馬においてはとても貴重な存在である。

第4位 かんぽの宿
かんぽの宿をなめてはいけない。(お湯はなめてもいいけど・・・)
かんぽの宿は、お金にものを言わせて地元と話し合いをつけ、自家源泉を持っているところが多いらしく、ここも自家源泉を使用している。
だいぶ加水している模様であるが、それでも新鮮なお湯をドバドバ入れているので、かなり効く。
ここはなぜかお年寄りが圧倒的に多い。お年寄りにとっては有馬温泉は、源泉ストレートだと湯が濃すぎるのであろう。そのためか、隠れた穴場である。
日帰り10:30?15:30。1,000円

第5位 御所坊/花小宿
今や有馬一人気がある旅館が御所坊で、御所坊系列のホテルの花小宿も御所源泉を使用している。
御所坊の場合は雑誌等に取り上げられることが多く、個人的には有馬一の旅館だと思っている。料理にもこだわりがあり、総合的に有馬で旅館をお勧めするならばここがダントツの1位である。
ただ、ここの半露天風呂は岩風呂でまことにすばらしい浴室であるのだが、残念ながら露天風呂が広すぎると思う。
露天風呂が広すぎて評価を落とす、と言うのは変な話なのだが、有馬は湯量が少ないので、露天風呂が広いと湯が傷むのである。
しかしながら、源泉100%のここの湯はとてもまろやかですばらしいものがあると思う。
湯そのものでいうと花小宿の方が湯船が小さい分、湯質がよい。
ただし、御所坊は日帰り入浴が11:00?14:00と可能であるが、花小宿は日帰り入浴はない。
花小宿の場合、素泊りで室料15,000円なので、2人で泊まれば割り勘で7,500円のリーズナブルな温泉でしかもおしゃれである。有馬一予約がとりにくいホテルとなっている。もし泊まれたらとってもラッキーなことである。

番外 外湯・金の湯
ここは有馬温泉の共同風呂で一応書け流しなのだが、加水は5倍以上ある。普通の温泉地でいうと加水が5倍もあれば、もはやただの水同然になるのだが、有馬温泉では加水が5倍あったとしてもけっこうよい湯なのである。
入ってみていただければわかるが、まるで赤だしの味噌汁の中に浸かっているような湯なのである。
ここの特徴は、42度の浴槽と44度の高温浴槽があることである。
私や子供たちがカゼをひいたときに、ここの高温浴槽でどれだけ救われたことか。有馬一の高温浴が楽しめる。
温泉は成分とともに湯温もとっても大事なのである。
6:00?22:00。650円

番外 その2 フルーツフラワーパーク
ここは我が家にほど近く、夜の平家のお風呂と化している場所である。
ここは露天風呂だけが温泉で、有馬温泉よりは薄いものの成分総計20g含鉄強食塩泉である。しかし、有馬温泉の中にはない。
なぜ取り上げるかというと有馬温泉のうち4件の宿が実はここの湯を運んでいって湯船に入れているのである。もちろん湯元であるここで入るほうが新鮮なのでとても気持ちが良いのである。
ここの湯の特色は、遊離炭酸が1,000mg近くあり、有馬温泉の強食塩泉の中に炭酸をぶち込んだような泉質なので一度で金泉と炭酸泉の銀泉に入ったようなお得感が味わえるのである。
6:00?9:00。12:00?22:00。800円。

さて、私のホームグラウンドはこの有馬温泉なので、今ラインナップしたお湯を中心に温泉に入ることが多いのであるが、温泉といえば、効能が気になるところ。
理論上は強食塩泉は、ケガやキズにとってもよく効くのであるが、この有馬温泉に2年近く入った私がひとつ自信を持って言えることは、一番効くのは美肌である。
46歳の私は、もう十分中年のおじさんだと思うのだが、肌だけは赤ちゃんのお肌のようにツルツルスベスベなのである。うちの奥さんが気持ち悪がってあまり触ってくれないほど、ツルツルスベスベなのである。
みなさんももし、美肌を目指されるのであれば、ぜひ有馬温泉に入っていただきたい。私の体験から、超おすすめな温泉と言えるのである。

さて、自慢ついでにもうひとつだけ自慢をさせてもらうと、実は私は有馬温泉のある旅館で、ひとつの権利をもらったのである。
湯宿にとっては、温泉の湯量の調整はとても大事なのであるが、その秘密のバルブのありかとその開閉を自由にしてよいという許可を女将からもらったのである。
私は個人的にはぬる湯でゆっくりとろとろ入り、最後には高温でスパッと気を上げて湯をあがるのが最高の状態だと思っているのだが、ここの女将もそれにはまったく同感のようで、バルブの開閉権をいただいたのである。
女将から認められた通の客だけがこの秘密のバルブの開閉を許されるのである。
この権利を持っている人は、これまで私以外に一人しかお会いしたことはない。とっても自慢なのである。
誰かに言いたくてうずうずしていたのだが、事務所のみんなやうちの奥さんに話しても「ああ、そう」とか「ふーん」とか言うだけでみんなつれないのである。
ちょっとでもいいのでうらやましがってもらいたいのである。
この際、鼻高々にみんなに言ってしまおぅ?っと!どうだ、まいったか!!(別に? by事務所一同)

2005年10月15日 00:00