2005年11月12日
隣のデューク更家
「大阪に事務所があるになぜ『神戸メンタルサービス』という名前なんですか?」とよく質問される。
私も昔は神戸をベースに活動しており、事務所も神戸にある私の自宅でやっていたのである。
しかし、大阪の方が神戸の約4倍の人口があるし、大阪の向こうには京都も控えている。
大阪や京都の人たちが神戸まで参加するのは遠いであろうと考え、大阪に事務所を移転し、活動の拠点としたのである。
講座を行う会場も、安住の地である江坂(大阪のメンタルの事務所がある場所)にたどりつくまでは、様々なところを転々とし、まるで放浪民のようだったのである。
これは、参加者の利便性を考えて色んな会場を試してみたためでもあるが、会場を貸してもらえなくなったことも数件あった。
会場を貸してもらえなくなる一番の理由は、怪しい団体だと思われてしまうことに尽きる。
昨今は名前が売れてきたため、そういうことはほとんどないのであるが、5年ほど前までは新興宗教の一団であるように思われていたこともあった。
とある会場でヒーリングワークをやっていたときのことである。
「平さまはお強いお方」で書いたように、当社は感情の開放を目的としているが、ヒーリングワークではこれを100人規模で行っていると想像していただきたい。いかに怪しまれるかがご理解いただけると思う。
会場のお掃除のおばさんが、私に質問してきた。
おばさん:「ところでおたくは何教なの?」
平:「え?うちは心理学で、宗教じゃないんですけど・・・」
おばさん:「いいのよ。おばさんはねそういうことに理解が深い方なの。何の宗教なの?」
おばさん:「いや、ですから宗教ではなくて心理学のグループセラピーをしているんですよ」
平:「グループセラピー?カタカナということはキリスト教系?」
おばさん:「いや、そうじゃなくて心理学の講習会なんですよ」
おばさん:「じゃあスポンサーは何教なの?」
平「いや、ですからスポンサーも何もついてない純粋な心理学なんですよ!」
と言ったものの、おばさんは納得していない様子なのである。
ヒーリングワークには、ときどきダンスタイムがある。
受講生のみなさんは、1日中イスに座っていらっしゃるので軽いストレッチをかねた軽い運動をしてもらうという側面もあるし、ダンスを踊るとみなさんのパターンがいろいろと出てくるという面もある。
人のことを気にしてばかりいる人は、ダンスでも、人が踊っているのと同じように自分も踊らなければならないとキョロキョロまわりを見回しながらダンスをされるし、自分を表現することが苦手なタイプの人は、ダンスをするということにすら抵抗を感じてしまう。
ダンスひとつでもいろいろと分析することは可能なのである。
おばさんとこんな会話をしていた矢先のことであった。
会場のドアを開けて受講生を会場内へと迎え入れているときに、あのおばさんが会場の前を通りがかった。それがちょうどダンスタイムの時間だったのである。
おばさんは我々がダンスをしているのを垣間見てしまったのである。
次の休憩時間、私がトイレに入ろうとしたとき、トイレをおそうじするおばさんたちの会話が耳に飛び込んだきたのである。
「今日のグループはどうやら踊る宗教みたいよ」
この会場がこれっきりで使えなくなったのは、書くまでもない。
さて話は変わるが、先日、テレビ番組の『金持ちA様×貧乏B様』を担当しているリサーチ会社から電話がかかってきた。
金持ちA様で出られるはずはないので、貧乏B様としての出演依頼か、と思ったのであるが、実は出演依頼ではなく、A様とB様の心理的背景についてコメントを求められただけだったのであった。
しかし、金持ちA様と貧乏B様と聞いて、ふと、あることを思い出したのである。
それは、私どもが大阪のミナミでよく講座を行っていた頃のことである。講座の会場としてホテルの会議室を使っていたのであるが、隣の会議室で見慣れない講座がよく行われていた。
講座名は「ウォーキング」と書いてあったのだが、私は何の講座なのかさっぱりわからなかった。「ウォーキング?モデルの歩き方でも教えているマニアなスクールなのかな?」
さらに講師の名前には「デューク更家」と書いてあった。
その当時私はもちろんこの「更家」が読めるはずもなく、「デュークこうけ???」と読んでいたのであるが・・・
私はその頃、この会場で『恋愛心理学講座』をしていたのである。
恋愛心理学VSウォーキング
ともに一般的でないマニアな講座同士・・・この講座には、客が来ているのかどうか、気になってしまったのである。
普通、どのお宅にもドアにのぞき窓がついていると思うが、マンションなどの自宅用ののぞき窓は中から外を見るようになっている。
一方、ホテルの会議室などではのぞき窓は、なぜかドアの外から中が見えるようになっているのである。
そこで、このマニアな講座に客が入っているのかどうか気になった私は隣の会議室ののぞき窓をのぞいてみたのである。
そののぞき窓から平が見たものは・・・クネクネと歩く帽子をかぶった男の姿であった。
「何やねん、こいつ?」
デューク氏に失礼なのであるが、私はおかまが何かしていると思ったのであった。
しかも受講生はわずか3人。
「ふふふ、勝った!」とほくそ笑んだのである。
本日の恋愛心理学講座の受講生は28人であった。
まさか、「おかま男」と私が判断した氏が6年後、人気おケイコNo.1、モナコに豪邸を構える天下のデューク更家氏になろうとは、そのときは不覚にも気づけなかったのであった。
しかも、さらに驚くべきことにこのときの3人のお客さんのうちの一人が、私が隣の会場でやっていた『恋愛心理学』というマニアな講座に興味を持ってしまい、引き寄せられるようにメンタルに参加するようになったのである。
その人というのが、実はこのブログを一生懸命作ってくれているきみちゃんである。
金持ちA様と貧乏B様・・・もし、彼女がこのときあのままデューク氏についていっていれば、今ごろこの薄汚れた事務所でブログをシコシコと打っていることはなく、モナコで社交界デビューをしていたのかもしれない。
右の部屋に入るか、左の部屋に入るかという紙一重の選択で、人の人生はこんなにも変わってしまうものなのであろうか・・・今後のきみちゃんの幸せを祈ってやまない・・・合掌
2005年11月12日 00:00