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2005年12月17日
フラの達人&指圧マスター

私はどうやらいろんな人に間違えられやすい人間のようである。日本全国いろんな場所でいろんな人に間違えられてしまうのである。
つい先日も、いつも講座で使っている東京の「ゆうぽうと」という会場の喫煙コーナーでタバコを吸っていたところ(最近この会場は館内で喫煙ができなくなってしまい、玄関前の喫煙コーナーでしかタバコを吸えなくなってしまった)、見ず知らずの女性に「こんにちは」とあいさつをされたのである。
あまりにもさわやかなあいさつだったので私も「はい、こんにちは」とさわやかにあいさつを返した。
この日は「スキルアップ講座」という講座があったのでうちの受講生だろうと思ったのであるが、よくよく考えてみるとスキルアップ講座にはカウンセラー養成コースの中級以上の人しか参加できないので、私がその人を知らないということはありえないのである。
「はて?」と思っていたらまた、3人組のとても首の長いスリムで若い女性たちがまたもや私に「おはようございます」とあいさつをしてくるのである。
「はて?はて?」隣にいた東京のスタッフの竹田に「誰だったっけ?」とたずねてみたところ彼女も誰だかわからないと言うのである。

私はいったいいつの間にこんなに有名人になったのであろう?と思っていた矢先、またもや5人ほどの女性の団体に「おはようございます。今日はよろしく」とあいさつをされたのである。
「『今日はよろしく?』ということは、今日のスキルアップ講座に参加する受講生なの?」と竹田に聞いてみたところ、彼女も見覚えがないと言うのである。
2人で首をかしげていたのだが、竹田がゆうぽうとの玄関に書いてある本日の催し物一覧を見て吹き出したのである。
何事か?と思って私もそれを見てみたところ、一番上にこう書いてあったのである。
「フラダンス教室発表会」
そう、私はいつものようにアロハシャツでタバコを吸っていただけなのだが、どうやらこの私をフラダンス協会の人だとみんなが勝手に誤解したようなのである。
確かにポリネシアン系の人は私に似た体型の人が多いようである。私はフラの達人のように見えたのであろうか?
その後も面白がって外に立っていると、いったい何人の人にあいさつをされたことか・・・
そういえば、大いなる勘違いというと、昔、スイスで心理学のワークショップに参加していたときのことを思い出す。
私の前に座っていたとっても大きな外人の女性が首をコキコキ鳴らして、とても肩こりがひどそうに見えたのである。
「もんであげようかなぁ」という軽い気持ちで彼女の肩をもみはじめたのであるが、結構ハードな肩こりだったので、グイグイゴリゴリ肩から首へそして首から頭へとじっくりもんであげたのである。すると彼女は「オーイエーオーオー」ととても気持ちよさげに外人らしく感情表現豊かにうなりはじめた。
これだけのことでそんなに喜んでいただけるのなら、としっかり肩をもみ、最後に指先でポンポンと頭の頂上を軽くたたいて終了した。
終わった後で振り向いた彼女は、目が真っ赤でなんと涙を流していたのである。
私が「何事か?」と驚いていると、彼女は「あなたはどんな技を使ったのですか?私は今、天を感じてしまいました。あまりにもすばらしい経験で感極まってしまったのです」という内容をドイツ語で訴えてきたのである。もちろん私はドイツ語を理解できないのだが、彼女はわざわざ通訳までひっぱってきて、そのことを私に伝えてくれたのである。
私はただもんであげただけなのに、こんなに感激されて、私の方が驚いてしまったのである。
後日、色んな情報を収集したところ、そのワークショップには東洋思想にぞっこんの一団が参加していたことがわかった。
その人たちは、東洋の一番端にある日本からわざわざスイスに来たこの日本人を禅の技法をマスターしたサイキックな達人と勝手に誤解した模様である。
スイスには、指圧やあんまが存在しないので、肩をもんでもらっが彼女はさぞや気持ちがよかったであろうとは思うが、思い込みがあったおかげでそれを「天を感じる悟りの経験」と言われても・・・
その後、私は彼女が引っ張ってきたごついドイツ人の肩を何人もまされたことか・・・

とはいえ、このような誤解はとても気分がよいものである.
しかし、図に乗りすぎたおかげで、困った事態になってしまったのである。

このスイスのワークショップの会場は、山の中腹にあるとてもロケーションのよい場所にあったのだが、私が泊まっていたホテルは、山麓の駅前にある汚いビジネスホテルだったのである。私はここから毎日、ワークショップの会場まで、1.5kmの道のりを歩いて通っていたのである。
10日間のワークショップだったのだが、後半戦は足がパンパンに張ってしまい、私がマッサージを受けなければならない状態になってしまったのである。
ワークショップの参加者の中には、ボディーワーカーといばれる西洋式のマッサージさんたちもたくさん参加しており、休憩時間や夜などには、有料でサービスをしてくれていたのである。
足がパンパンに張ってしまった私は色んな人に頼んでみたのだが、ごとく全員に断られてしまうのであった。
「めっそうもない・・・あなたをマッサージできるほどのものではございません」というのが彼らの断り文句なのである。
いささか天狗になりすぎていた私がどう取り繕おうが、誰も恐れをなして私にマッサージをしてくれないのである。

困り果てた私は、「そこをなんとか」と頼んだ結果、ようやく最終日にマッサージをしてもらうことになったのだが、そのマッサージの先生は私にとても気を遣ってくれて、その先生のマッサージスタイルの最高の秘技を私にしてくれたのである。
うつむかされてマッサージを待っていたのだが、その先生は一向に私をもんでくれないのである。
「何をしているのだろう?」とふとその先生を見たところ、一心不乱にお祈りをしていらっしゃったのであった。
そして15分後、ようやくその先生の手が私の腰に当てられたので、「いよいよもんでもらえるのかな?」と期待したのだが、その手は腰にあてられたままさらに15分。額に汗する先生・・・
そして15分後、先生が「いかがでしたか?」と私に質問したのであった。
「え?もう終わり?」
そのマッサージグループの秘技は気功法のようなもので、私の丹田にエネルギーを送っていたらしいのだが・・・
確かに体が温かくなったような気が・・・

しかしながら、私はそんな秘技よりも、もんでもらいたかったのである。
足がパンパンで、ただ誰かにどんなやり方でもいいのでもんでもらいたかったのである。
「天を感じる悟りの経験」と言われて天狗になっていた私がそれと引き換えに手に入れたものは、むくんだ足の地獄のような経験だけだったのである。


P.S.
なお、長らくご愛読いただきました『私的ブログ』は次週で堂々の最終回を迎えます。

「え??」「なんで??」

その訳は次週まで、乞!ご期待!!

次週は大作『大忠臣蔵』にて堂々の完結。次週は必見!!!


2005年12月17日 00:00