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2006年4月29日
男たちの戦場 <Part3>

ディズニーランドの初日、ショーを見ながらの食事も終え、とりあえずうちの子供たちの腹が満たされ、我々は落ち着きを取り戻したのであるが、アトラクションはどこも長蛇の列なのであった。
しかも、本日分のファストパスも取れず・・・入場3時間にして平家はすることがなくなってしまったのである。
ショッピングに目がないうちの女房と娘も、レジ前の長蛇の列を目撃してしまい、すっかり気分が萎えているようなのである。
はてさて、いったいどうしたものか?

こんなとき用に、参謀総長であるY嬢から、「春休みや夏休みのディズニーランドはものすごく混むけれど、朝一番から入った子連れのお客さんは夕方近くには疲れきってどんどん退場していき、夜のパレードのときは、さらにアトラクションが空くはずだ」という情報を得ていたので、我々は勇気ある撤退を決断したのである。

ディズニーランドの外側には、「イクスピアリ」という商店街、いや、ショッピングゾーンがあると聞いた。
しかも、幸いなことにうちの東京の受講生が1名、ここにまぎれこんで働いており、結構、情報収集はしていたのである。
ショッピングに目がないうちの奥様と娘をここに放り込み、私と息子はホテルで夜までゆっくりくつろごうと考えたのである。、
今日はものすごく混雑しすぎていて、ディズニーランドですることがないのである。
「しかしなぁ、入場してショーを見て飯を食ったら、することがなくなっちまうとはなぁ・・・」などといきなりくじけながら、我々は、ディズニーランドを後にしたのであった。

三時半ごろホテルに到着し、チェックインを済ませ、奥様と娘をショッピングに送り出し、私と息子は、2人取り残されたのであった。
お目付け役がいないとなれば、我々2人は自由なのである。
いつものように我が息子の目がキラリと光ったのである。
「パパ、アイスクリーム!」
合点承知!私もコーヒーを飲みたいと思っていたところだったのである。
ホテルのロビーラウンジで、優雅にティーブレイクを楽しもうと思ったのであるが、な、な、な、なんとコーヒーも飲めなければ、アイスクリームも食べられないのである。

「なにゆえ!!」

ホテルのロビーラウンジでは、「プリンセスアカデミー」なる催し物をやっていたため、我々男2人が優雅にお茶を飲むスペースはないのである。

「プリンセスアカデミー」とは何ぞや?

することのない我々2人は、フロントの前から見学をしていたのである。
きれいに盛装をした5、6才の女の子が多数、これまたきれいに盛装をしたお母様連中に連れられて多数、集っていたのである。
頭にはティアラなんかも載せたりして、プリンセス候補のお嬢様が、お姫様になるべく講習会を受けているのである。
執事の服装をした教育係らしきお姉さまが、5、6才のお姫様候補に言っているのである。
「シンデレラや白雪姫などのお姫様は、顔や服装が美しかったから王子様に見初められたわけではありません。美しい心があったからこそ王子様に見初められたのです。何よりも美しい心を持つこと、これがプリンセスには大事なのです。わかりましたか?」
その瞬間、「はーい」と言って手を上げたお母様3名。
すかさず、執事のお姉さまが、「お母さんは結構です」とキッパリ。
プリンセス候補のお子様たちは、どうも訳がわかっていない模様なれど、つきそいのお母様連中は、目がぶっとび、うっとりと独自の世界に入っている模様。

この儀式をクサイと思うか、うっとりするかで女性陣の人生もきっと2つに分かれるのであろう。
うちの受講生の自立のキャリアウーマンたちにも、このプリンセスアカデミーを受けさせてみたい、と思ってしまったのである。
その後、食事のマナーから、ダンスレッスンへと移り、いよいよ外人のハンサムできりりとりりしい27、8歳の王子様(ここはやはり、外人の青年が王子様らしくてよいのだろう)が登場したのであるが、そのりりしい王子様を見ているお母様連中の目が、ヨン様を見ている主婦陣のようでとてもおもしろかったのである。
そして、自分の娘たちが次々と王子様とダンスを踊るのをお母様連中は、ただうっとり見つめるのであった。
ディズニーランドの世界では、女性は完璧に夢の世界にはまれるのであろうか?
ふと見ると、こんなところでウロウロしているおっさんは私一人なのである。
きっとこの家族のだんなさま連中は、ほぼ召使状態で、きっと今頃は、あの戦場と化したディズニーランドで白兵戦を戦って長蛇の列のいずれかにむなしく並んでいるのであろう。
この、男が誰もいないフロントロビーの前で、私と我が息子は、立ち尽くすだけであったのである。

さて、そんなこんなをしている間にうちの奥様と娘が上機嫌でショッピングから帰ってきたのであるが、手ぶらなのである。
「おや?買い物はしなかったの?」と尋ねたところ、うちの奥様と娘がごきげんで言うのである。
「お買い物したものは全部お部屋に届けてくれるんだって。便利よねこのホテル」
おー なんとショッピングまでお姫様扱いか!
やるもんであるアンバサダーホテル!!
私の株もちょっとは上がったであろうか?

そして、我々は、もう一度、イクスピアリに戻って夕食をし、英気を養ったところで、きっと、だいぶ空いたであろう、ディズニーランドに戻ったのである。

「いいか、夜のパレードは明日見る。この時間のアトラクションは空いているはずだから、心おきなく夜の10時まで乗り物を楽しむのだよ」
ようやくジェットコースターに乗れると思った我が子供たちは目をキラキラさせながらディズニーランドに向かったのである。
きっと、アトラクションはガラ空きのはず・・・・・・の予定だったのだが・・・

パート4に続く

2006年4月29日 00:00