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2006年4月15日
男たちの戦場 <Part1>

その朝、着替えを済ませ、そっとベッドに目をやると、女房子供たちはまだ夢の中にいた。
今日一日君たちが幸せに過ごせるように、パパは一足先に戦場に赴くのだよ。
決意を固め、部屋のドアを開け、私は戦場に向かっていったのである。
すると、同じ決意を持ったパパたちが、あちらこちらのドアから戦場に向かうべく、口を真一文字に結び、出てきたのである。
そう、開場1時間前、我々男どもは、入場ゲートに並ばねばならない定めのようだ・・・今日、ついにディズニーランドに来てしまったのである。
ふぅ・・・長い道のりだった。

年初に東京ディズニーランドに行くことに決めてからというもの、とてもたいへんだったのである。
私は、並ぶのも、場所取りをするのも大嫌いな性格である。
そのため、春休みというディズニーランドが一番混雑する時期にもかかわらず、並びもせず、場所取りもしなくてよい方法はないものか、と調べに調べ上げた結果、何とかなる方法があったのである。

それは、ディズニーランド内にある「ディズニーアンバサダーホテル」に泊まればよいことを発見したのである。
しかしながら、このホテル、日本中のディズニーファンのお気に入りホテルであるらしく、半年前の予約開始日には、壮絶な戦いが繰り広げられ、ほぼ1日で、宿泊予約は完売してしまう、と聞いた。
「今ごろ予約しても、取れるものではないですよ」とディズニーファンのY嬢は私をバカにしたのである。
しかしながら、私はかつて、ホテルジャンキーズクラブなどというホテルマニアの会に入っていたこともあり、ホテルの事情は結構、詳しいのである。
そして、あの手この手を使い、何とか春休みに宿泊予約をしたのであった。
そのやり方については、あまりにもセコく恥ずかしすぎるので、ここには書けない。
このホテルに宿泊すると、宿泊者の特典として、ディズニーランドに宿泊する日の1ヵ月前から、ガイドツアーやショーレストランの予約、「シェフミッキー」と呼ばれるミッキーさんと一緒にお食事ができる会などの予約が取れるのである。

3月3日の朝、9時前、平家は家中にある電話とケータイをかきあつめ、4台の電話を駆使して、ディズニーランドに電話をかけるべく待機中であった。
この日は平家がディズニーランドに行くちょうど1ヵ月前。予約解禁日なのである。
前日の夜と当日の朝、我々夫婦がどれだけ予行演習をしたことであろう。

9時5秒前、1号機発信
3秒前、2号機発信
9時ちょうど、3号機、4号機同時発信
したのであるが、電話機の向こうから聞こえてくるのは、「こちらはNTTですが・・・」という声なのである。

おっ、このフレーズは聞き覚えがある。確か、この次に続くフレーズは「おかけになった電話番号は、お客様の都合により現在通話ができなくなっております・・・」と言うはず。
なんだよ?ディズニーランド、ちゃんと電話代くらい払えよ! と思ったのであるが、さすがディズニーランド、ちゃんと払っていた模様である。

「こちらはNTTです。おかけになった電話番号の地域は、たいへん込み合っております。もうしばらくたってからおかけください」と言うのである。
話し中にもならないのである。
な、な、な、なんと恐るべし!ディズニーパワー!
NTTのご忠告に従って、「はい、そうですか」ではしばらくたってから・・・」なんてことをやっていれば、私の計画は無残にもくずれてしまうのである。せっかくのご忠告なれど、うちの奥様ともども一秒ごとに4台の電話を発信し続けたのである。
にもかかわらず、まったくつながらないのである。
「なんていうこったい!!」
と絶望的な気分で発信すること15分。ついにうちの奥様の発信した電話が、ディズニーランドとつながったのである。

しかしながら、「こちらは、ディズニランド総合予約センターでございます。
ただ今、電話がたいへん混雑しておりますので、順番におつなぎしておりますので、しばらくお待ちください」というではないか。
いいですよ。いくらでも待ちましょう。ここまでくればあと一息、と待つことさらに15分。ようやく我が家は、希望の予約すべてを取れたのであった。

「ディズニーアンバサダーホテル」に泊まると、ガイドツアーなるものが予約できる。
このガイドツアーは、1日約10組、1組10名で、ディズニーランドを2時間半、若くてきれいなお姉さんがガイドしてくれるのである。

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このようなかわいい看護婦さん、いや、ガイドのお姉さんに2時間半も介護してもらえるのである

しかも、その間にアトラクションを3つ、特別優待で並ばずに乗せてくれるのである。
ディズニーランドには、ファストパスという公式横入り券なるものがあるのであるが、これは2時間に1個しかとれない。
つまり、2時間半で3つも乗り物に乗らせてもらえるこのツアーを利用しない手はないのである。
しかも、このガイドツアーは、ガイドツアー終了後、決められた一等席でパレードが見られるのである。

パパたちは、パレードの1時間前には、場所取りのために並ばねばならぬとよく聞くが、このツアーに参加すれば、らくらく一等席で見られちゃうのである。
これはありがたい!
しかしながら、こんなありがたいもの、みんなも狙っていると見た。
何万人と来る入場者の選ばれた10組。たった100名しかこのガイドツアーには申し込めないのであるから、予約が殺到するのも致し方ない。
しかしながら、そのガイドツアーの予約がとれたのである。
しかも2日分も。しめしめ。

さらにディズニーのキャラクターが歌って踊るショーレストランの予約もできたのである。
ディズニーランドでは、ポップコーンを買うのにも30分以上待つのは当たり前だと聞いた。ましてやまともなレストランで食事をしようなどとは決して考えないようにとのディズニーマニアのY嬢からの忠告もある。
しかも、持ち込みはすべて禁止だという。
かわいい顔しながら、ディズニーランドのミッキー市長は商売上手である。
だからこそ、ごはんを食べながらショーが見られるこのレストランはとてもありがたいのである。
そして、みんなが憧れるミッキーさんやミニーちゃんとごはんを食べながら写真も取りまくれる「シェフミッキー」の予約も完了。

ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。

すべては計画通り快適なディズニーツアーのはずだったのである。

以下、次号に続く。

2006年4月15日 00:00