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2006年6月 9日
仰げば尊し

ゴールデンウィークに、我が師が来日し、4日間のセミナーを開催したので、アシスタントとして参加してきたのである。
『3日で15kg太っちゃった事件』で書いたように、我が師は、私以上におデブである。しかも、イタリア系のアメリカ人であるせいか、とてもチャーミングで明るいおデブなのである。

私も今までの人生ので色んな先生方と巡り合い、色んな影響を受けてきたのだが、この師との出会いで受けた影響は、計り知れない。
一般の多くの人が「心理学」に抱くであろうイメージと同様、私もかつては、心理学に対して、陰気で暗い神経質そうな教授が、大学の地下研究室で暗?く研究をしているイメージを持っていたのだが、そのイメージを覆してくれたのもこの師なのである。

師のセミナーは、いつも爆笑に包まれる。しかも、すごく下ネタが好きで、下品である。
彼の本当にすばらしいところは、学説だけではなくライフスタイルそのものが、我々にとっての生きた教材になっていることだと思う。
パートナーシップがどういうもので、愛し合っている夫婦がどういうものか、を本ではなく、実際の夫婦のあり方や、生き様で勉強できたことは何よりもすばらしいことであった。

師は、今や世界的に有名になって、世界中を飛び回っているのだが、移動の飛行機はすべてファーストクラスだと聞く。また、ホテルもすべてスィートルームであるらしい。
それは、師のステータスにふさわしいと思うのだが、19年前、初めて会った頃は、彼も貧乏であった。
今でこそ、ハワイに自宅を構え、世界各国どこへ行ってもスィートルームを用意される身分であるが、当時は、10日間のセミナーの参加者が25人なんていうこともあった。うちのアシスタントミーティング以下の参加人数である。
長崎での3日間のセミナーに、受講生が16人しか集まらなかった時代もあったのである。
しかし、参加人数が16人であろうが、今のように200人を越える大人数であろうが、昔も今もまったくライフスタイルが変わらないのは、師の本当にすばらしいところだと思う。
何よりもユーモアを愛し、明るく、楽しく、生きているのである。

この師との出会いが、私に火をつけたのである。
「何だ、こんな生き方もありかよ!」
そう思って以来、私は、解放されたのである。

よって、私は、セミナーよりも宴会好きである。
今から数年前、ゴールデンウィークにぽっかりとスケジュールが空いて、何かしようということになったことがあった。
普通ならば、長めのセミナーを企画するのが社長の王道であろうが、私は、温泉宿を借り切って2泊3日のメンタル学芸大会を開いたのである。
類は友を呼ぶのであろうか、メンタルの人は、本格派の芸達者が多い。
カラオケをするからといって、家庭用のでっかい扇風機を持参する奴までいるのである。扇風機を最強にし、強風の下、プロモーションビデオ風に歌うのである。
メンタルの大カラオケ大会などは、ヒーリングワークよりも人気があったりするのである。


さて、話は変わって、昔、私がまだメンタルをはじめたばかりの頃のことである。
私の仕事のメインは個人カウンセリングであったのだが、セミナートレーナーとしても、色んなセミナー会社に「雇われトレーナー」として行くことが多かったのである。
当時は、プログラムセミナーと呼ばれる自己啓発系のセミナー会社がとても多かったのだが、その多くが行き詰まりを感じており、そこに変り種トレーナーとして助っ人外人のように一定期間契約で行ったりしていたのである。

ところが、そこで言うところのトレーナーには、品格があり、知的で、そして教養深いことが求められるのである。
しかも、その当時、私のセミナーにつけられたタイトルは『サイキックヒーリングワーク』だったのである。
私には、超能力もなければ、霊感もないのにもかかわらずである。
受講生たちと打ち上げに行くことも禁じられ、セミナーが終わると風のように去っていかねばならなかったのである。
もちろん、賢い主催者が、この私を打ち上げに連れて行ったらどうなるのかを考えた上で、何とかボロを出さないようにとの配慮だったと思うのだが・・・。

そんなことをしているうちに、私は、下ネタもしゃべれず、スーツ着用での堅苦しいトレーニングにほとほと不自由さを感じるようになり、メンタルで自分のセミナーを始めたのである。
しかし、当初はこの雇われトレーニングと併用だったのである。

あるとき、私がメンタルのセミナーを終え、受講生たちとともに打ち上げでドンチャン騒ぎをしているときに、私がトレーナーをしていた別のセミナー会社の受講生たちがこの居酒屋にやってきたのである。
席が遠く離れていたため、我々がいることも、何をやっているかも、向こうはまったく気づいてなかったようで安心していたのだが、そのセミナー会社の受講生となんとトイレでばったりと出会ってしまったのである。
その受講生は私のことをすっかり誤解しており、「平さんは、閑静な緑あふれる田舎の自宅で、いつも書斎にひきこもり、哲学的な思想と心理学の学究的な探求にふけっているのだろう」と勝手に考えていた模様である。

トイレの前で彼女は私に言うのである。
「おかげさまで彼ができまして、今度、結婚するんです。今日、一緒に来ていますので後でごあいさつにお伺いしますね」と。
ちょっと酔っ払っていた私は、「あぁそう、よかったね。奥の席にいるから暇なときに来てね」と彼女に言ってその場を去り、またドンチャン騒ぎの宴会に戻ったのである。
ところが、いくら待っても彼女はやってこないので、そのうちに、私も彼女と約束をしたことを忘れ、いつものようにドンチャンドンチャンと騒いでいたのである。
大騒ぎをしている間に、うちの悪い女性受講生が、自分の化粧道具で私の顔に色んないたずら書きをし始めたのである。rakugakikao.jpg

そして、それが面白かったので、色んな人が色んな具合に私に落書きをして、さらに手ぬぐいでほうかむりまでさせられ、さらにみんなでドンチャンドンチャン遊んでいたのである。

そんなときに、あの彼女が彼を連れてやってきたのである。
その顔のまま、私は直立不動で彼女のあいさつを受けたのである。
彼女は彼に「この人が私の命の恩人の先生なの。本当に感謝してる人なのよ」と私を紹介したのである。
そのときに、あいさつを受けた私は、横にある写真どおりだったのである。
その後、このセミナー会社からのお呼びは一切かからなくなってしまったのは書くまでもない。

2006年6月 9日 14:21