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2006年7月 8日
「君が代」を背負う者たち

日本のワールドカップがあっけなく終わってしまったのである。

オーストラリア戦は、家族全員での観戦であった。
クロアチア戦は、セミナー後の打ち上げを21:45に終わり、ホテルの部屋で一人での観戦であった。
ブラジル戦は、4:00前に目覚しをかけ、家でテレビの音を小さくして見ていたのであるが、玉田のゴールとともに家族中を起こして、みんなに怒られながらの観戦であった。
しかし、あっけなく一次リーグで敗退してしまったのである。
なんとまぁ、悔しいことなのであろう。

しかしながら、トリノオリンピックと違って、あっけなく終わってしまったおかげで、私は健康状態を損なうことなく今日に至っているのであるが、やはり、日の丸を背負っての戦いは、数々のプレッシャーとともになかなか苦しいものであったのであろう。
今は、日本チームの健闘をねぎらいたいのである。


ワールドカップというと、サッカー日本代表同様、この私も日の丸を背負って日本のために戦ってきたことがあるので、今日はそのことについて書いてみたいと思う。

以前にも書いたことがあると思うが、私は、温泉にはまる前は、ホテルジャンキーズクラブなどという会に所属するほど、ホテル好きだったのである。
温泉同様、私は好きなものにどっぷりとのめりこみ、調べ上げ、すべてを知らないと気に入らないおたくな性分なので、ホテル業界のことは、結構、隅から隅まで知っているのである。

日本ではあまりないのであるが、個人で海外旅行をするときの話でよく聞くのが、ホテルのオーバーブッキングである。
予約をしているにもかかわらず、当日ホテルのフロントで予約がないと言われたり、急に違うホテルに泊まって欲しいと言われることがあるのである。
有名ホテルであればあるほど、当日のキャンセル分を見越して予約を受け付けるので、オーバーブッキングは当たり前なのである。

その日の予約の加減で、オーバーブッキングしてしまい、何人かのお客様を断らねばならなくなったとき、みなさんがホテルのフロントマンだったら、どうするかを想像してみていただきたい。
誰から断るであろうか?
ヨーロッパやアメリカの人は体がでかいし、こういったホテルの都合で断られたりすると、怒って怒鳴るのである。
では、一番おとなしく、ものわかりがよいのは、どこの国の人であろうか?
そう、それは我々日本人なのである。
よってほかの国の国民よりもこのオーバーブッキングでは、日本人が割を食うことが多いのである。
ただし、日本人であっても、家族連れ、連泊者、旅行代理店を通して予約をとった人は、まず大丈夫だと思って差し支えない。
では、どのケースが一番危ないかというと、個人予約でのツインのシングルユースお一人様利用のビジネスマンなのである。

今を遡ること8年前、私はスイスのセミナーに参加した帰り、スイスのジュネーブのとある四つ星ホテルに泊まることになっていたのである。
しかし、ちゃんと予約していたにもかかわらず、ちょっと不安だったのである。なぜなら、そのときの私は、まさしく今書いたとおり、一番オーバーブッキングで狙われるすべての条件を満たしていたからである。
しかも、セミナーが終わってからスイスのジュネーブまで移動せざるを得なかったので、チェックインの時間が夜の8時過ぎと遅かったのである。
しかし、このことは、日本を出発する前からわかっていたことなので、私はちゃんと準備をしていたのである。

いよいよそのホテルに到着し、私はフロントに予約確認書とパスポートを提示したのである。
フロントマンは、パソコンで私の名前をたたくと、おもむろにびっくりして、こう言ってきたのである。
「お客様、誠に申し訳ございませんが、本日、ご利用いただく予定のお部屋が急に水漏れ事故をおこしてしまい、メンテナンスのために使用できなくなってしまいました」

ふふふ、やはりそうきたか・・・まさかとは思っていたが、私はこの事態にうれしくなったのである。
だって、そのためにちゃんと用意してきたものがあるんだも?ん(^-^)v
大概の客はフロントマンのこの一言に、嫌な顔をしたり、ブチ切れたりするのであろうが、そんなことをしたところで、フロントマンはそう言われたときの心の準備はばっちりできているのである。
その手には、乗るもんか!

私は、フロントで大喜びしてガッツポーズをしたのである。
フロントマンは「え???」とびっくりした顔をしていたのである。
かつて、オーバーブッキングを告げて、これほど喜んだお客がいただろうか?
私は黙って、トランクの中から、ミニ工具箱を取り出し、フロントのカウンターに置き、「いや、実は趣味が水道管修理なんだよね。今晩徹夜でも、ぜひ直してみたいなぁ。で、どんな故障なの?難しい故障ほど燃えるんだよね」と目をキラキラさせて、フロントマンに詰め寄ったのである。

フロントマンの顔がどんどんひきつっていくのがわかったのであるが、敵もさるもの、次なる手を繰り出してきたのである。
「誠に申し訳ございません。実は、水道管の修理は方便でございまして、誠に申し上げにくいのですが、実は、お客様がご利用になる予定のお部屋で昨日、自殺事件がございまして・・・さすがにこんな部屋にお客様をお泊めするわけにはいきません。何分、表沙汰にはしてくなかったので・・・」
確かに、ホテルに泊まったときの一番のホラーストーリーは、まさしくこういうケースであろう。
「もちろん、当方の負担で違うホテルのお部屋を用意しておりますので」と彼は伝えてきた。
そこまで言われてこの部屋に泊まりたい客などいるはずないだろうから、これはきっと彼の切り札だったのだろう。

しかしながら、私は用意したさらなる切り札を彼の前で披露したのである。

そう、それは、数珠である。

「まだ、宿泊カードを書いていないから、君が知らないのも無理はないけど、私の仕事は除霊師なのだよ。水道管のメンテナンスができないのは残念だが、このホテルに泊まったのも何かの縁、この部屋の除霊は私に任せておきたまえ、除霊料は特別に安くするよ」とかましたのである。

その日、私がスイートルームに泊まったのは書くまでもない。
しかしながら、こんなものばかりトランクに詰め込んで行くものだから、私の海外旅行はいつも大荷物なのである、。

今年ももちろん、この2点セットを携えて、ヨーロッパ旅行をするのである。ふふふ

2006年7月 8日 00:00