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2006年8月26日
スイスイスイス

旅行の2日目。前日の夜にパリに着いたばかりにもかかわらず、午前中にほとんど写真を撮るだけの慌しい観光を行っただけで、13:00のTGV(フランス新幹線)に乗ってスイスのローザンヌに向かったのである。

書けばこれだけのことなのであるが、実は、TGVに乗れるかどうかは、かなりの大問題だったのである。
旅行の準備でいろいろな情報を収集したところ、TGVに乗車するにはかなりのリスクがあるようなのである。
日本の新幹線に乗る場合、どこのホームから列車が出るかは予め決まっており、そのホームで待っていさえすれば新幹線がやってきて乗客は乗り込むだけでよいのだが、フランスではそうはいかないのである。

私たちがパリのリヨン駅に着いたのは12:30ごろだったのであるが、その時間でもまだローザンヌ行きのTGVが何番ホームからが発車するのかは決まっていなかったのである。
駅員さんも「出発の15分前くらいになると電光掲示板に出るから、それを見て乗るように」と言うばかりで、我々を不安がらせるのである。
この日の駅はバカンス客であふれかえったいたのであるが、みんな駅でウロウロしていたのである。
TGVでは、ひどいケースになると電光掲示板に出たホームが途中で変更になり、そうとは知らずに乗り込んだお客さんがぜんぜん違う方面に連れて行かれたという笑い話にならない話が多数あるらしいのである。
しかしながら、何度も何度も確認して、我々はようやくTGVに乗り込み、スイスに向かうことができたのである。


我々がなぜスイスへの道を急いだかというと、スイスには平家が観光したい場所が多いというのはもちろんであるが、平家特有の大荷物も理由のひとつである。
個人旅行のため、TGVに乗るといっても我々家族4人だけでなく、平家特有のあのバカでかいスーツケースを3つも連れて行かなければならないのである。まるで7人で旅行しているようなもので、しかもそのうち3人は要介護状態のようなものである。
当然ながら、スーツケースは座席の上の荷物置場に収まる代物ではなく、かといってTGVの荷物置場もそれほど大きくないのである。また、そこに置けたとしても、いつすられるかとヒヤヒヤしなければならない。
これでは、リラックスとは程遠い旅行になってしまのが嫌なのである。
一方、スイスには、ファーストバゲージサービスという我々のような個人旅行者にとっては夢のようなシステムがあるのである。
朝9:00までに駅にスーツケースを持ち込むと、スーツケースだけが到着地の駅に送られ、我々は手ぶらで観光ができるのである。そして、夕方18:00には我々の荷物は目的地の駅に到着しているのである。
ホテルのポーターさんにチップと引換証を渡せば、我々の荷物は部屋まで届けてもらえる。
スイスではどんなに大荷物を持ってこようが手ぶらで観光ができるのである。


このシステムを使って、我々は旅行3日目に手ぶらでスイスの名峰・マッターホルン観光に出かけたのである。
マッターホルンが見られる展望台は3つほどあるのであるが、一番有名なのがゴルナーグラード展望台である。
この展望台は、標高3,000mのところにあるので、高山病にかかるリスクがあるのである。
高山病にかかる人はめったにいないらしいのであるが、新婚旅行のとき、私も奥さんもともにしっかりとかかってしまっているのである。
よって、この2人の血を引く息子と娘は高山病になる確率が高いとみたのである。
もちろん、高山病といってもそれほど怖いものではないし、いきなりかかるわけではない。
何だか気分が悪くなり、車酔いをしたような状況になるのである。そして、しばらくすると頭が痛くなり始める。車酔いから船酔いに進化したような感じで
さらに気分が悪くなるのである。
ゴルナーグラード展望台へはツェルマット駅から40分かけて電車で上るのであるが、これくらいゆっくり時間をかけて上ると人間の体は高度に順応できるので、高山病になりにくいのである。
高山病で一番悲惨なケースは、フランスのシャモニーであろう。ここは高速エレベーターでいきなり3,800mのモンブランまで上ってしまうので、ロープーウェイでゲロを吐く人が多数だと聞く。

そのこともあって、ゆっくり上れるゴルナーグラード展望台を選んだのだが、にもかかわらず、うちの息子はいきなり高山病になってしまったのである。
高山病の特効薬は、2,500mくらいのところまで高度を下げるのが一番である。
3,000mクラスの山から見るマッターホルンは、さすがにすばらしい景色だったので、カフェテラスでコーヒーを飲みながら、ゆっくり鑑賞したいところだったのであるが、息子のためなら仕方がない、ゆっくり鑑賞するのをあきらめて、2,500mちょうどのところにある、リッフェベルク駅まで電車で降りて、そこのホテルのテラスでゆっくり休むことにしたのである。
高山病の経験者である私たち夫婦は慣れたもので、2,500mのところまで降りて、あったかいスープでも飲ませればすぐに治るだろう思っていたのであるが、まさにそのとおり、テラスで軽い食事をとっていると、スープを飲んだ息子はものの5分もしない間に、元気になったのである。
高山病というのは、本に書いてあるように、ちょっと降りてくるだけで本当にすぐに治ってしまうものなのである。

当初の計画では、標高2,800mのローテンボーデン駅から、今お茶を飲んでいるリッフェベルクまでアルmattahorun.JPG
プスと氷河を見ながら大草原をハイキングする予定だったのであるが、息子の高山病のため、いきなりリッフェベルクまで電車で降りてきてしまったたのである。
はてさてこの先どうしよう?と考えていたのであるが、元気になってきた息子が、「ハイキングをしよう」と大はしゃぎなのである。
そう、うちの子供たちが燃え上がるほど、私たちがいた場所は本当にすばらしいところであった。

そこで私は、このリッフェベルクから、もう一つ下の駅であるリッフェアルプまで歩くことを考えたのであるが、準備周到な私もさすがにこのハイキングコースの情報は持ち合わせていなかったのである。なぜなら、旅行者へのおすすめハイキングルートの中に、なぜかこの区間のルートだけがなかったのである。
なぜ、おすすめルートになかったのかは、私が身をもって体験することになるのであるが、それは次回にゆっくりと書く。
(つづく)

2006年8月26日 00:00