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2006年9月16日
スイスの個室浴槽事情

コモ湖での優雅なクルージングを楽しんだ後、我々はスイス一暑いと言われるルガノを後に、本日はスイス一寒いと言われているサンモリッツに向かったのである。
電車でルガノからサンモリッツに向かうと7時間ほどかかるのだが、我々はレンタカーなので、近道を通り、なんと3時間でサンモリッツまでたどり着く予定なのである。
この近道は、スイスからイタリアに入り、そして、イタリアから再びスイスに入るという国境の峠越えのルートである。パームエキスプレスというバスの便があるくらいすばらしい景色の連続で、昔、画家のセガンティーニが住んでいたといわれるソーリオやマロヤなどアルプスを見渡せる村々を通って行くのである。
私はここに来たくてレンタカーを借りたといってもいいくらいここに来たかったのである。
8月にもかかわらず、高い山々は、雪をかぶっており、昨日まで半そででも暑くて汗が噴き出していたのに、この地域ときたら、極寒なのである。
サンモリッツはヨーロッパの夏の避暑地として有名なのであるが、これでは避暑どころではなく、寒すぎるのである。日本での11月後半か12月初旬の寒さである。
8月だというのに、あられが降ったりするのである。

そうこうしているうちに、快適なドライブで15時過ぎにはサンモリッツに着いたのである。
この日の宿はこの旅行一ゴージャスな5つ星ホテルなのである。
サンモリッツは、昔からお金持ちの保養所として有名で、スイスの中でもひときわホテル代が高いのである。
そのため、5つ星ホテルに泊まれるなど考えてもいなかったのであるが、マニアな私は見つけ出したのである。JTBの個人手配用のホテルリストの中に、なんと2万円台半ばで売りに出ている部屋が1つだけあったのである。
私はさっそく、JTBに電話して「2部屋何とかなりませんか」と頼んだのである。
言ってみるもんである。何とかなったのである。
このホテルは、ドイツ系ホテルのチェーン店で、ドイツのリッツカールトンホテルのような存在なのである。
しかも、このホテルの隣には、なんと温泉が湧いているのである。
サンモリッツはもともと温泉保養所として開けた町なのであるが、今は観光客のほとんどは、夏の避暑や冬のスキーのために訪れ、誰も温泉など見向きもしていないのである。
もちろん私以外は・・・

サンモリッツの温泉がどんなものかは知らねど、そこに温泉があるならば行かねばなるまい!
うちの奥さんと娘をショッピングに送り出し、私は息子と温泉に向かったのである。
ヨーロッパの温泉はほとんどが温水プールのようなスタイルが多いので、ここもそうだろうと高をくくり、海水パンツとスイミングキャップ、ゴーグルを持参し、ホテルの隣にある3階建てのとても大きな保養所に向かったのであった。
敷地もとても広く、大いに期待して受付を探したのであるが、ないのである。
「温泉に入りたいのだがどこに行けばいいのだろうか?」と入り口で出会った人に聞いたところ、受付は3階にあるそうなのである。
そこで、息子ともども受付に行って「温泉に入りたいのだ」と言ったところ、受付の人が変なことを言うのである。
「ただ今から手配をしますので、10分ほどお待ちください」
しかも、私と息子は一緒に入れないというのである。
なにゆえ???
ここはプールのような温泉ではないのか?

なんと、サンモリッツのお風呂は日本で言うところの貸切風呂のようになっており、1部屋に1人用のユニットバスが大きくなったような湯船が1個あり、そこに1人で入るらしいのである。
よって私と息子は別々の部屋で入浴せねばならないようである。
もちろん海水パンツもゴーグルもスイミングキャップも不用なのである。
私はおびえる息子をこれも彼の人生経験になるであろうと手を振って見送ったのである。
ただ私が早く温泉に入りたかったからではないことをあえてあえてここに書かせていただく。

どうもここは本格的な温泉保養所のようで、部屋に入るとそこにはベッドがあり、看護婦さんのような人がつくのである。
そして、その看護婦さんは、ここですべて服を脱げと言い、私の横で私が服を脱ぐのをじっと待っているのである。
しかし、これはだいぶ恥ずかしい。
こういうことなら、それなりの準備もしておきたかった・・・残念ながら、今日は旅行用のパンツで、勝負用のパンツははいていなかったのである。
まぁそんなことを言っているといつまでたっても温泉に入れないので、仕方なく私は全裸になり、彼女に導かれるまま隣の部屋に入ったのである。
そこには先ほど書いたようなユニットバスのやや大きめの湯船がひとつあり、そこに温泉が入れられているのである。

入ってみると、このお湯が絶品で38度ほどの湯温なれど、入浴している私の体中が泡まみれになるほどすばらしい炭酸泉なのである。
これくらいの湯温であれば1時間ほどは入りたいところなのであるが、20分ほど経ったころに、看護婦さんがやってきて「健康に悪いから」と追い出されたのである。
そして、先ほどのベッドのところまで連れて行かれ、バスタオルで蓑虫のように体中を包まれて、「寝ておけ」と言われたのである。
そのまま放置されること20分。またまた看護婦さんがやってきて、「時間になったからとっとと帰ってくれ」と言われたのである。ちょっとは期待したのだが、もちろん添寝などはしてくれないのである。

これで1人3,500円なのである。
スイスの人たちは、健康保険がきくようで、もっと安く入れるようなのだが、我々は保険がないので、保険外診療ということで高くつくようなのである。

部屋から出ると、息子も何とかなったらしく、彼なりの個室浴槽の初体験はすませたようである。
ただ、親としては、息子がこの幼児経験のため、将来、個室浴室マニアにならねばよいが、と心配する今日この頃なのである。


2006年9月16日 00:00