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2006年10月21日
CEOとお呼び!

これでも私は一応、神戸メンタルサービスやカウンセリングサービスの代表なので色んな人に会う機会が多いのである。
一般社会では、初めてお会いする人とは名刺交換をするのがならわしなのであるため、色んな名刺をいただく。
集まった名刺はきみちゃんが名刺ホルダーにちゃんと保管してくれるのだが、暇なときに「名刺じゃんけん」などをする以外はあまりこの名刺の使い道がないのである。

「名刺じゃんけん?」と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、これは私が昔銀行員だった頃、暇なときに後輩たちとよくやっていた遊びである。
各自が自分の机の中にある名刺を10枚ほど無作為に取り出し、それを裏向にしてよくきり、いちにのさんで同時に表を向けるのである。そのときに会社の知名度や肩書きによって、勝った負けたを決めるのである。

例えば、街の八百屋の代表取締役の名刺とソニーの係長という名刺が出た場合、2人で吟味してどちらが強いか決めるのである。
一般的には、この場合、ソニーの係長の勝ちである。

しかし、多くの人の名刺が私の手元にあるということは、私の名刺も広く配っているわけある。
もし、私のように名刺じゃんけんをする誰かが私の名刺を出したとすれば、零細企業である当社の代表である私の名刺は、トランプでいうところの2か3くらいのレベルであろう。


世の中には、会社ごとに色んな肩書きがあるものである。
一般の会社では、平社員から順番に主任、係長、課長代理、課長、部長代理、部長、取締役、というのが一般的であろう。
私が昔勤めていた銀行では、平社員、支店長代理、副長、次長、支店長、母店長そして取締役であった。
会社の種類や組織のあり方によって名称もいろいろである。

私は対外的にはよく「神戸メンタルサービス・代表」と書いているのであるが、実はこれは方便である。
我々の会社は実は「合資会社」なのである。
私は、昔カウンセリングをはじめたときから個人でやっており、最近までずっと長い間個人でやっていたのである。
つまり、ちょっと前までは、「神戸メンタルサービス」というのは屋号であった。八百屋さんが「八百正」という屋号だったり、魚屋さんが「魚政」という屋号で商売しているのとまったく同じだったのである。

しかし、規模も大きくなったので、いつまでも個人というわけにもいかなくなり、何とか会社組織にしようと考えたときに、株式会社にするか、有限会社にするかしか私の頭では思いつかなかったのである。
昔は、株式会社にするには1000万円の資本金が必要であった。有限会社でも300万円必要なのである。
ところが、ちょうど私が会社をつくろうと考えていたころ、商法が改正になって資本金を用意しなくても会社が作れてしまうようになったのである。
しかしながら、会社というものを経営したことがない私は、びびってしまったのである。株式会社なんかにして乗っ取られたらどうしよう?
冷静に判断すると、株式上場もしていない(いや、できない)当社が乗っ取られることなどありえないのであるが・・・

では、有限会社はどうか?という意見もあったが、私は「有限」という言葉が気に入らなかったのである。限りがあるというのはどうも気に食わない。
そのとき、当社を担当してくださっている税理士の先生が、「合資会社というのもありますよ」と言ってくれたのである。
「合資会社では代表取締役とは言わず、平さんの好きな無限という名称がつきますよ」と教えてくれたのである。
しかも資本金は20万円でいいと言われたので、それは零細企業のうちらしいと考え、「それでいきましょう」と決めて、手続きを全部丸投げしたのである。
私の中では、合資会社というのは、社長のことを「無限取締役」と呼ぶのだろうと勝手に推測していたのであるが・・・

しばらくたって会社の定款ができあがってきて、私はびっくりたまげたのである。
そこにはこう書いてあった。
「神戸メンタルサービス合資会社 無限責任社員 平準司」
私は、社長でなく、社員なのである。
しかも、無限責任なのである。
これはプレッシャーがきつい。
なぜ、社長のくせに無限責任を負わせられる社員なのであろうか?
せっかく会社を作ったのに社長になれないばかりか、責任を無限に背負わされてしまったのである。
このネーミング、聞くだけでも気分が重くなるのである。
よって、名刺は、「神戸メンタルサービス・代表 平準司」にしているのである。

そのうち、有限会社か何かに変えようと思いつつ、この性格なので今日にいたってしまっているしだいなのである。
このようないきさつがあるものだから、私は人から名刺をもらうときに、肩書きをよく見るのである。
昨今急に、会社の代表者であろうと思われる人からの名刺に、「CEO」とつくものが多くなったのである。
確か、日産のカルロス・ゴーン社長もCEOと呼ばれていたはずである。

CEOとは何ぞや???
きみちゃんに頼んでインターネットで検索してもらったところ、「チーフ・エグゼクティブ・オフィサー」の略だそうである。
なるほど・・・そこで、私は考えたのである。
どうせ私の名刺はいかさまの「代表」なのであるから、「CEO」の方がかっこいいのではないか?と。
そして、事務所で「今日から私はCEOになる!」と宣言し、「私のことを平CEOとお呼び」と宣言したところ、意外にもスタッフ一同からすんなり受け入れられたのである。
しかしながら、あるとき私は聞いてしまったのである。
ある受講生が「最近、平さんは自分のことをCEOと呼んでいるけれどもあれはどういう意味なの?」とうちのスタッフに質問したとき、スタッフがはっきりとこう答えたのである。

「あぁ、あれはね『超エロおやじ』の略でCEOなんだよ」と。

2006年10月21日 00:00