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2006年11月18日
異文化コミュニケーション

私は仕事柄、いろんな人に出会うのである。
本当にいっぱいいろんな人に出会うのである。
もちろんそれは私の楽しみのひとつでもあるのだが。
カウンセリングやセミナーなんかをしていると毎日どんな人との出会いがあるのかな?ととても楽しみにしているのであるが、出会うのが苦手な人というのも存在する。
特に、外国の人で言葉があまり通じない人との出会いは、この私でもさすがに緊張するのである。
私がしゃべれる言語は日本語と英語、そして少しばかりのタガログ語である。
タガログ語というのは、フィリピンの言語なのであるが、昔フィリピンバーで、いや、フィリピンの人とコミュニケーションする中で、学ぶことができた。

外国の人としゃべるときには、主に英語でコミュニケーションを図ることになるのであるが、私の英語力は今や中学生並である。
相手がアメリカ人やイギリス人など英語が母国語である場合はまだ何とかなるのであるが、相手の母国語が英語以外で片言の英語しかしゃべれない人の場合は、よくコミュニケーションに誤解が生じる。
昔、フランス人と英語でしゃべっていたところ、いきなり「アー・ユー・テクニシャン?」と言われたことがあるのである。
いきなり「君はテクニシャンか?」と聞かれても困ってしまう。
「ちょっとは自信があるが、詳しくはうちの奥さんに聞いてくれ」と言うしかないではないか。
なぜ、脈絡もなくこういうことを私に聞いてくるのだろう?と思っていたら、どうも彼が聞きたかったのは「君は理系のエンジニアなのか?」ということだったらしいのである。だったら、ちゃんと「エンジニア」と聞いて欲しかった。

この種の誤解はとてもたくさんあるのである。
以前のブログに書いたように、私はスイス人の友達が多い。
スイス人はドイツ語がメインの母国語であるので、私と同じくつたない英語しかしゃべれない人もとてもたくさんいるのである。
スイス滞在中のある日、朝の散歩をして汗をプルプルかきながら、朝食を食べようと町の喫茶店に入ったとこのことである。
当時、私がよくいたスイスの町は、ロイクというものすごい田舎町である。当然、こんな街に日本人はほとんどいない。
初めて入る喫茶店だったのだが、おじさんは「私にどこから来たのか?」と聞いてきたのである。
当然私は「日本から来た」と答えたのであるが、おじさんはどうやら私に「どこから歩いてきたのか?」と聞きたかったようなのである。
ところが、私が日本からと答えたものだから、おじさんは私が日本から歩いてきたと誤解したのである。
おじさんはびっくりしながら、つたない英語で私にこういったのである「アー・ユー・・・アーユー・・・ニンジャ?」

忍者と言えば、前々回のブログで書いたスイス人をだましたときの話で、もう一つ書き忘れたことがあったのである。
うちの家に遊びに来たスイス人4人を連れて、フィールド・アスレチックに行ったことがあったのである。
昔一時期「フィールド・アスレティック」がとてもブームになったことがあるのであるが、そのブームも過ぎ、ひょっとしたら今の若い人はフィールドアスレチックなるものをご存知ないかもしれない。
「フィールド・アスレチック」とは、丸太で作った遊具を乗り越えたり、大きな網が張っている上を飛び越えたり、長いロープについた滑車を使って川を渡るといった遊具があって、けっこう面白いのである。
こんなものヨーロッパでもあるだろうと思っていたのだが、私が連れて行ったそのスイス人たちは、なんと初体験だったようなのである。
彼らは当然、「これはいったい何なのだ?」と私に聞いてくるのであるが、そう聞かれれば私はこう答えるしかないのである。

「ドゥー・ユー・ノウ・ニンジャ?」

「オー・イエス」

「これは、忍者の修行センターなのだよ」

もちろん、彼らはすごく燃えたのであった。
確かに、フィールド・アスレチックにあるもののすべてはまるで忍者を養成するような雰囲気がある。
もちろんあの太秦の東映映画村の一件がバレるまで、この件はバレなかったのであるが、その後、すべてバレたので私は今はとても肩身が狭いのである。

そんな私であるが、外国人たちに色んなことを教えた中で一番うけがよかったのが、なんとトランプの「大貧民」なのである。
どうやらヨーロッパには「大貧民」がないようである。
みなさんがこのゲームをどういうふうに楽しんでいるのかはわかりませんが、平家では大貧民が大富豪によいカードを2枚渡すとき、「ありがとうごぜえますだ。お代官様、今年の年貢でごぜいます」と土下座をしながらこのセリフを言わねばならないルールになっている。
もちろんこのセリフは全部日本語で覚えてもらった。
外人が言う「ありがとうごぜえますだ・・・」のセリフはとてもおもしろい。
ところが、私が教えたこのゲーム、彼らはよほど面白かったと見えて、母国に帰ってから広めた模様である。
その後、一年ぶりにスイスに勉強に行ったときに、このセリフともども大貧民がスイス人の間で流行っていたのにはびっくりした。
もし、みなさんが、ヨーロッパに旅をすることがあり、大貧民を向こうの人とすることがあったら、そしてその大貧民が「ありがとうごぜえますだ・・・」のセリフ入りであったとしたら、その大貧民はうちから発祥したものだと思っていただきたいのである。

2006年11月18日 00:00