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2007年4月21日
マイルのためなら・・・

もう1ヵ月ほど前の話になるのであるが、全日空のボンバルディア機が高知空港に胴体着陸したことがあった。
私もテレビの生中継で、胴体着陸の瞬間を見ていたのであるが、機長の冷静な判断と対処により、見事に着陸し、ケガ人もなく、無事にすんだのである。
普通ならがこれでめでたしめでたしなのであるが、私の場合、めでたくないのである。
なぜならば、よくボンバルディア機に乗るからなのである。

私がはじめてこのボンバルディアにお世話になったのは福岡から伊丹に帰るときであった。
福岡も大阪も私のイメージの中では大都会である。
ところが、福岡空港で伊丹便に乗ろうとしたら、いきなり小さなバスに乗せられたのである。
「はて、なぜ?」

普通、離島や人口の少ない地方都市にいく便ならいざしらず、なぜ福岡から大都会の大阪に向かう便でこのようなバスに乗せられるのであろう?
しかも、そのバスにはたった13人しか乗っていないのである。
そして、バスに乗せられて空港の片隅にあるとても小さな飛行機に連れて行かれたのである。
その飛行機は定員が50人ほどで、左右に2列2列しかないとても小さな飛行機だったのである。
当然、私はびびったのである。
「ひょっとして、これは対馬か壱岐に行く飛行機なのではないだろうか?」
びびった私はスチュワーデスさんに聞いたのである。

「これ伊丹行きですよね」
もちろんスチュワーデスさんが笑顔とともに「そうでございます」とやさしく答えてくれたので安心して乗ったのであるが、その機に乗った乗客はやはり、バスに乗っていた13人だけだったのである。
福岡?大阪は主要幹線ではないのか?
なぜ、たった13人しか乗っていないのであろう?」
しかもプロペラ機で・・・

私はJALのマイレージをためているので基本的にJAL便にしか乗らない。
福岡初の伊丹行きは、朝が7時台に1本、2便目は12時前後に1本、その次は3時台になるのである。
よって必然的に、私はこの昼前の便で大阪の伊丹空港に向かうことになってしまうのである。
しかしながら、その便があのボンバルディア機であったことは、あの事故があるまでまったく知らなかったのである。
プロペラ機は、ジェット機に比べて低い高度を飛んでいくので、福岡発の伊丹便は瀬戸内海の上を通るのでとても景色がよいのである。
私は個人的に、このプロペラ機をとても気に入っていたのである。あの生中継を見るまでは・・・

先日、福岡から帰るとき、新幹線で帰るかどうか、悩んだのである。
はっきり言うが、私は怖がりのビビリ症である。
しかし、私は年間50回以上飛行機に乗らねば、JALのサファイア会員を維持できないので、ボンバルディア機といえども、飛行機に乗れるときに乗っておかないと年間50回の利用回数は厳しいのである。
そこで、腹をくくり、自分の中ではこれはボンバルディア機と近づくワークなのだろ気合をいれ、あえてあえて乗ってみたのである。

前回の乗客が13人であったので、今回ひょっとして貸切かもしれない、といつものように妄想したのであるが、なんと、ほぼ定員に近い40数名も乗客がいたのである。
みんなは私のようにびびらないのであろうかと思いながら、機内に座っていたところ、やはり機内での話題は「ちゃんと車輪が降りるのかねぇ」とか、「胴体着陸をするハメになったら何かもらえるのかねぇ」などと事故の話題ばかりなのである。
そんなに気になるなら、新幹線で帰ればよいのではないか、と思うのであるが、私と同じように何らかの事情があって、この便に乗るハメになった人なのであろう。
当然ではあるが、スチュワーデスさんも気楽に振舞っているように見えるのである。

しかしながら、私の前列に座っていた2人連れのおばさまが、この場合決して聞いてはいけないであろう質問をスチュワーデスさんにぶつけていたのである。
「車輪、出ますよね」
この質問こそが、この機内に乗っている誰もが聞きたくても聞けない質問だったであろう。一瞬あれだけざわざわしていた機内がシーンとなったのである。
たぶん、スチュワーデスさんは、あの事故以来この質問に対する準備を万全に整えているのであろう、見事なばかりの笑顔で「厳重な整備を行い万全を尽くしておりますので、ご安心くださいませ」と答えたのである。
当然、ここまできたら信じるしかなかろう。

しかしながら、伊丹空港に近づくにつれ、ビビるのである。
私の席は、翼のすぐ下で車輪が出るか出ないかが一番よく見える席なのである。
いよいよ伊丹空港に近づくと乗客一同のオーラが緊張に包まれたのである。
そしていよいよ車輪が出る段ともなると、全員が翼の下を注目して見ているのである。
そして、そのときがやってき、見事に車輪が出ているのを確認すると、誰からともなく拍手が起きたのである。
なんとも緊張するものなのである。

見事にボンバルディア機は伊丹空港に到着したのであるが、次回は福岡の帰りに温泉にでも入って、熊本空港か佐賀空港から帰ろうと思った私なのである。


2007年4月21日 00:00