何で思いつかなかったのであろう!!
急に思いついたものであるから、何の資料も持ってきていなかったのである。
しかしながら、温泉のこととなると、私の頭の中にはこと細かいデータが保存されているのでだいじょうぶなのである。
いつもなら、今まで入ったことのない温泉に行きたいと思うのであるが、今回は４８歳にもなったことであるし、１０代の男の子がはじめて彼女ができたときのようなあんな温泉の入り方をやめて、癒しのための温泉旅行にしたいと思ったのである。
「癒しのための温泉旅行？」
ほとんどのみんさんは、温泉旅行に癒しを求められると思うのであるが、私の場合、１泊２日の温泉旅行で１４湯は入る。
そんなにたくさん入ると癒されるどころか、湯疲れしてしまい、温泉に行く前よりもすごく疲れて温泉地を後にすることになる。
その疲れを取るのに１週間ほどかかる。
その疲れを取るのにまた家の近くの温泉に行くので迎え酒ならぬ迎え温泉状態になってしまうのである。
ということで、今回はテーマを「おとなの温泉旅行」とし、断腸の思いで１泊２日６湯にしたのである。
フフフ・・・私も大人になったものである。

ヒーリングワーク明けの月曜日、いつもの温泉旅なら朝一番、６時台の新幹線に乗るのだが、今回はゆっくりと目覚めた後で旅立とうと思ったのである。
しかしながら、体は正直なもので、７：３０には目が覚めてしまったのである。
火曜日の１３：３０から東京で仕事が入っていたため、できるだけ近くの温泉がよいと考え、今回は栃木県の塩原温泉に行くことにした。
東北新幹線で行くのだが、那須塩原駅に止まる新幹線は１時間に1本しか出ていない。
８：２８の新幹線に乗るには少しあせらないといけないので、大人の私は９：２１発の上野発の「やまびこ」で行くことにしたのである。

ホテルから上野駅までは、通常タクシーで１０分もあれば着く。
余裕をもって８：５０前にホテルをチェックアウトしたのだが、乗ったタクシーの運転手さんに「上野まで」と伝えると、「道わかりますか？」と言われたのである。
そこで私ははっきりと伝えたのである。
「さっぱりわかりません」
どうもこの運転手さんは今日からタクシーの仕事をはじめたようで、一番めの客が私だったようである。
迷いながら上野駅に着いたのは５分前であった。
上野駅は、新幹線乗り場が駅の一番隅にあり、とても遠い。
切符も買っていない私は、重たいトランクと本だらけの手提げカバンを持ちながら、走りに走ったのである。
何とか新幹線には間に合ったのだが、席に付いた途端、乳酸が全身を駆け巡り、とてもえらい目にあったのである。

私は塩原駅でレンタカーを借り、「岩の湯」と呼ばれる塩原温泉の露天風呂に向かったのである。
このお風呂、川べりに湧いているお風呂なのだが、まわりから丸見えのお風呂で、よほどの勇者でない限り、この風呂には入れないのである。
さすがの私もはじめて塩原に来たときはパスをした。
しかし、２回目に来たとき、夕暮れ時にこっそりと入り、あまりの気持ちよさにはまってしまったのである。
足元湧出泉と呼ばれる湯船の底からプクプクと温泉が湧き出す絶品の風呂だったのである。
であるから、今回は何はともあれこの風呂に入りたかったのである。
しかも、まっ昼間に・・・
まっ昼間なれど、同好の士、数人がすでに入浴中である。
このようなお風呂でも同好の士がいると心強い。
私は社会の目と恥の感情を捨て去り、入浴したのであった。
この風呂のすぐ横には遊歩道があり、多くの人が通るのである。
しかしながら、入浴しながら側を散歩している人を見ていると、ほとんどの人が我々から目をそむけているのである。
どうも我々の方が立場は強いようである。

この風呂は、絶品なれどとても熱いのである。
３分も入って言えばゆであがる。
湯船の外で体を冷やしていると、新しく来た同好の士が私にたずねるのでる。
「アブは出ませんか？」
そこで、私はその人にはっきり言ったのである。
「ハエは多いようですが、アブはいませんよ」
しかしながら、私がハエだと思っていたものは、暖冬や最近の異常気象のせいか、例年より早く出現したアブだったようなのである。
油断していたため、７ヵ所かまれた。

たぶん、先ほどの人もきっと同様であろう
今更ながら、地球温暖化を体感したのである。

2007年5月19日 00:00