2007年6月16日
温泉大図鑑 Part 3
ひっぱりにひっぱった温泉シリーズも、今回でいよいよ最終回なのである。
最近は、よい温泉というと、「源泉掛け流し」が一つの売りになっているようである。
掛け流しとは温泉の使用方法のことなのであるが、温泉のお湯を湯船に入れ続けてい
るので、当然ながら、あふれたお湯は浴槽の外に流れていく。
一方、健康ランドなどにあるとても広い浴槽や、ジャグジーなど浴槽などがたくさん
ある施設などは「循環風呂」である場合が多く、お湯を浴槽の中で循環し、再利用し
たりしているのである。
ひどいケースでいうと、1週間もお湯を替えていないような施設もある。
当然のことながら、このような温泉はお湯が傷みすぎていて、あまり効能が期待でき
ない。
だからといって、掛け流しがすべてよくて、循環風呂がすべて悪いわけでもないので
ある。
私の経験では、掛け流しの7割ぐらいはよいのであるが、「ごまかし掛け流し」とい
うのも3割ほど存在する。
いちばん多いのが、先に温泉に加水をし、薄めた温泉を掛け流しにしているスタイル
である。
これは、一見、掛け流しなのであるが、「源泉100%掛け流し」というふうには記載
されていないので見分けやすい。
また、宿に悪意はないのであるが、源泉が100度近くあり、加水して冷まさねば入れ
ないような温泉ももちろんある。
この場合の加水は致し方ないと考えている。
しかし、なかには熱すぎる温泉をラジエーターを使って冷やしたり、わざわざ一日か
けて冷ました源泉を使うなど、水を加えないことにこだわりをもっている宿もあった
りするのである。
この種の経営努力はとても素晴らしいことだと感動する。
また、循環風呂のすべてが悪いわけでもないのである。
温泉地によっては、湯量が少ないために、掛け流しと循環風呂を併用しているところ
も多いし、また、源泉そのものの温度が低く、加熱が必要になっている場合は循環せ
ざるを得ないのである。
良心的な宿では、毎日、夜には湯を完全に抜いて、朝には新しい源泉で満たされてい
ることも多く、この場合、循環風呂といえども、夜になってもさほどお湯は傷んでお
らず、とても気持ちよく入れるのである。
最近は、塩素消毒のため、お湯から塩素臭がプンプンにおう温泉があり、興ざめする
こともある。
しかしながら、「お湯に対する宿のこだわりがない」とは責められない事情もあるの
である。
保健所はいま、塩素消毒をものすごく強力に宿に強要している。
塩素消毒をしなければ、温泉営業の許可を出さないと強気の保健所も多数あるのであ
る。
四国の道後温泉の本館では、最近、泣く泣く塩素投入をして、地元の人から大ブーイ
ングを受けているが、保健所の指導によるもので致し方ないそうなのである。
もっと理不尽な話もある。
家族風呂と呼ばれる、カップルなんかが二人でゆっくり楽しめるお風呂の許可が、最
近は出ないのである。
まったく馬鹿げた話だと思うのだが、風俗的な意味での男女混浴を防止するために許
可が出ないそうなのである。
しかしながら、お年寄りなど治療目的で利用される場合、夫婦で助け合いながら温泉
入浴するしかないということもとても多いのである。
東北地方などにある混浴風呂のいちばんの主旨は、この介護目的なのである。
それを風俗の問題と一緒にするのはいかがなものかと思う。
また、カップルや夫婦が温泉でゆっくりリラックスすることは、悪いことではないと
思うのだが、お役所の人の夫婦仲は冷えきっているのであろうか?
さらに、最近は工場排水の問題などを受け、排水は浄化して川に流さねばならないと
いう法律ができたそうなのであるが、これがなんと温泉にも適用されるらしいのであ
る。
入浴後の温泉排水がこれに該当してしまい、酸性泉などは中性に戻して流さねばいけ
ないことになったそうなのである。
ただでさえ儲からない温泉宿に、何千万円もする排水処理設備など導入できるわけが
ないではないか。
仕方なく宿をやめてしまうことになる結果、われわれは温泉に入れなくなるのである。
こんなことを、みなさんはご存じなのであろうか?
平はとても怒っているのである。
私は勝手気ままに温泉に入っているだけなのであるが、そんなわれわれが自由に温泉
に入れる環境を整えようと、温泉宿の人たちは涙ぐましい努力をされているのであ
る。
しかも、そのような努力をしたところで、日帰り入浴料などは、高くて1,000円。
普通は500円程度のところがとても多いのである。
ほんとうにありがたいことである。
いま、日本全国で、毎年毎年、とてもたくさんの温泉宿が閉鎖されている。
とても残念なことなのであるが、それほど温泉宿を維持することは難しいらしいので
ある。
私がよく行く有馬温泉などは、成分が濃すぎるため、3カ月に1回、配管を替えないと
詰まってしまい、使いものにならないそうである。
みなさんも温泉に行かれるときは、そのへんのことも少し考えていただいたら、宿の
経営者の人たちもがんばり甲斐があるというものであろう。
2007年6月16日 00:00