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2007年6月 2日
温泉大図鑑

前回、久しぶりに温泉ネタでブログを書いたところ、以前にも増して、温泉の質問を受けることが多くなったのである。
一番よく聞かれる質問は、「よい温泉を教えてください」で次に多いのが、「いろんな温泉の違いって何ですか?」「平さんはどうやって温泉を見つけているのですか?」がベスト3である。
あまりにもよく聞かれるので、今回は全部ブログで書いてしまうことにする。

聞かれて一番困る質問が、「よい温泉を教えてください」なのだが、その人がどんな目的で温泉に行くのかで「よい温泉」は違ってくるのである。


温泉には、いろんな種類があるが、まずPH(ペーハー)で温泉を分けると、PH3以下の酸性泉と呼ばれる温泉と、PH8.5以上のアルカリ泉というものに分けられる。

酸性泉は、草津温泉や、玉川温泉などの硫黄泉系の温泉が多い。
この温泉の特徴は温泉に浸かるだけで体中のばい菌がほとんど死んでしまうことである。私は、昔から水虫に悩んでいたのだが、水虫治療は酸性泉に限る。1時間も入っていれば、水虫はほぼ全滅してしまうのである。
草津温泉には、眼科がないらしい。細菌を殺してしまう温泉なので、結膜炎になる子供がいないからだそうなのだ。
ただ、当然ながら、目に入るとすごく痛い。
また、玉川温泉などは、PHが1.4くらいある強酸性泉なので、サンポールに浸かっているようなものだと考えていただければいいと思う。よって浸かりすぎると肌がすごく荒れる。

一方、アルカリ泉と呼ばれるのは、入るとつるつるとしてとても気持ちがよい、。
ただ、強アルカリ泉と呼ばれるようなPH9.5以上の温泉に入るときは、決してシャンプーをしてはいけない。ただでさえシャンプー液に入っているようなものなので、さらにシャンプーすると髪の毛を傷めすぎてしまうからである。
私は、最高PH11.3の温泉に入ったことがあるが、ここまでくるとあまりつるつるはしない。体の油分が瞬時になくなってしまう。石鹸いらずの温泉と呼べるかもしれない。

また、違う区分では、塩分による区分というのもある。
人間の体の中には塩分が、だいたい6?7g程度あるのである。
これ以下の濃度の温泉を低張性温泉と呼ぶが、この温泉は長く入ると手の指がシワシワになるのでわかる。
この温泉に入ると、あなたが竹の子で、お湯でぐつぐつ煮られてアクを取られているような効能がある。
体の中に溜め込んだアクを取るのには、成分総計が1g?2gの温泉がよいのである、。
人間の塩分濃度と同じくらいの温泉は等張性温泉という。

温泉をなめて塩辛いと感じるくらいの温泉は、高張性温泉と呼ばれ、有馬温泉なんかは、60gほどある。
この温泉に入ったあなたは、おでんの大根のようなものであり、温泉の効能がどんどんあなたの体に染み込むのである。
よって、入りすぎると間違いなく湯あたりする。
また、有馬温泉に浸かりすぎると強力に下痢をする人も多い。
しかしながら、悪いものが全部出て行ったような感じになり、とても体が軽くなる。
うちの子供も昔、便秘症であったが、有馬温泉に行くと必ず便秘は治ったものである。


さらに、温度による効果もある。
熱い温泉に入れば、交感神経が刺激され、血圧が上がり、目が覚める。
私は出勤前には、熱い温泉に入り、目を覚ましてから出勤することが多い。
一方、神経が疲れきって夜眠れないような状況のときは、ぬるい温泉がおすすめである。ぬるい温泉は、副交感神経を刺激するので、神経がとても緩和する。
東北方面に行くと、「のぼせ引き下げの湯」という温泉があるのであるが、これはストレスを緩和し、神経を緩めるため、入るだけでとても眠くなる。
だいたい36℃前後の温泉なのだが、温泉に使っている人のほとんどが寝ており、たまにおぼれそうになっているのがとてもおもしろい。
しかし、あまりにもストレスを溜め込みすぎて神経が張り詰めているような状態の場合、私は頭にタオルを置いて熱い温泉を100杯ほどかぶる。
当然、頭の神経はさらに張り詰めるが、その後、湯上りにゆっくりと頭が冷えるころに神経が緩み、ものすごい緩和をするので眠りやすくなったりするのである。


温泉療法の考え方は、一般の西洋的な医学とは違う考え方をすることも多い。
例えば胃酸過多の人がいるとすると普通は、胃の中の酸が多いのでアルカリ性のお湯や水を飲んで中和しようと考える。
しかし、温泉療法では胃酸過多の人にさらに酸性のお湯を飲ませたりするのである。
すると胃の中はもっと酸性状態になり、「これはたいへん」と胃が目覚めて、さぼっていた仕事を再開し、胃酸を中和してくれるようになるという考え方なのである。
しかし、一歩間違えば大惨事になるので、このへんは宿の人と相談されたらいいと思う。
宿によっては湯治に行って3日ほど経ち、湯あたりして、熱が出るは、下痢はするは、気分が最悪のときに「おめでとうございます」と言って赤飯などを炊いて喜んでくれるところもある。
こういう状態のことを「湯の花が咲く」といってその後、だんだん体が楽になっていくらしいのである。
このへんも命がけなので宿の人と相談してみられることをお勧めする。

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2007年6月 2日 00:00