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2007年7月28日
デブ平捕物帖

先日、家で子どもと一緒にテレビを見ていたのである。
特番などでよくある、ドキュメントの24時間の警察密着ものなのである。

そのテレビを見ているさなか、うちの息子が言ってきたのである。
「パパは泥棒を捕まえたことはないの?」

それで思い出したのであるが、捕まえたことはないのであるが、捕まえそうになって
逃げられたことはあったのである。
きょうはその話を書く。

結婚してまだ子どものいなかったころ、夫婦でカナダに旅行することにしたのである。
そして、旅行代金は私の車のダッシュボードに入れていたのであるが、ある日、それ
を払おうと思い、ダッシュボードを空けたところ、そのお金がないのである。
「はて?」

私は当時から物忘れがひどかったので、「えーっと、どこに置いたのかなぁ」ぐらい
にしか思っていなかったのである。
しかし、その日の夜、母親がイヤなことを言うのである。
最近、車の小銭が盗まれるというのである。

街の人には理解してもらえないかもしれないが、田舎者のわれわれには、家や車にカ
ギをかけるという習慣がない。
よって、泥棒さんがやってきたら、取り放題なのである。

そして、どうも、取られちまったようなのである。
当然ながら、落ち込んだ。

しかし、その後もちょくちょく車の小銭がなくなるようなので、私は考えたのである。
「泥棒を捕まえて、旅行代金を取り返そう!」、と。

どうやら、夜、みんなが寝静まってからやってくるようであったので、どういうふう
にこの泥棒を発見すればよいか考えてみたのである。
そこで思いついたのが、よく田舎のお店なんかに行くと、玄関に入った瞬間にセンサ
ーが感知し、「ピンポーン」とチャイムが鳴るシステムだったのである。
あれをガレージに上手に付ければよいのではないかと思いついたのである。

そして、私は電気工事の店に赴き、18,000円でこの装置を購入したのである。
「なぜ、そんな昔に買った機械の値段を覚えているのか」と突っ込まないでいただき
たい。
それは、うちの奥さまから、「傷口が広がるばかりだから!」と、この機械の購入を
反対されたからなのである。

そのセンサーをガレージの隅に上手に取り付け、そして、電線を引いて、家の中でチ
ャイムが鳴るようにしたのである。
そうすれば、万が一のときは寝室内でチャイムが鳴るので、泥棒には気づかれないと
思ったのである。

そして、予行演習を十二分にうちの奥さまとやった、その日の夜のことである。
寝静まった夜中の2時ごろ、いきなりチャイムが「ピンポーン、ピンポーン!」と連
呼したのである。
「いきなりかよ!」

打ち合わせどおり、奥さまは私が大声を上げたらすぐに警察に電話をかけられるよう
スタンバイし、私は木刀を持って、裸足で音を立ないようにして、ガレージに近づい
ていったのである。

こう見えても私は剣道の有段者。
腕には少々自信があるのである。

そして、木刀を上段に構え、ガレージに向かった私が見たものは‥‥。
車のボンネットの上で気持ちよく寝ている、うちのネコだったのである。

その後、同じ手口で、ネコに睡眠を妨げられること数回。
ひどいケースでは、バッタがそのセンサーの近くを飛んだだけで反応してしまったこ
ともあった。
われわれは捕物帖どころか、睡眠不足になってしまったのである。

そんなこんなで2週間後。
いつものように、夜中にチャイムが連呼したのである。

すっかりだまされ続けていたわれわれは、いちおう、万が一のためにと備えつつも、
「どうせ、また、うちのネコだろう」と思いながら、ガレージに向かったのである。

が、なんと、こんどはほんとうに泥棒さんがいたのである。
私が大声を張り上げるやいなや、泥棒さんは脱兎のごとく逃げ出したのである。

自転車か単車であれば、木刀を車輪に突き刺して止めようと思っていたのであるが、
走って逃げられると、私はつらい。
30m走った時点で、泥棒さんに逃げられてしまったのである。
約10分後、うちの奥さまからの通報でおまわりさんが来てくれたものの、残念ながら
取り逃がしてしまったのであった。

泥棒に投げるための銭を用意しておかなかったのがいけなかったのであろうか?
三つ葉葵の印籠を出したほうがよかったのであろうか?

反省は尽きないのであるが、捕物は失敗に終わったのである。
もちろんのことながら、その後、この泥棒はわが家を訪れてはくれなかった。
あれだけ待ち焦がれていたのにもかかわらず、である。
やはり奥様が言ったとおり、傷口がただ広がっただけだったのである。


2007年7月28日 00:00