2007年8月 4日
ああ、夏休み
夏である。
夏といえば、夏休みなのである。
私のまわりの受講生たちも、みんな夏休みの計画を楽しそうに話しているのである。
が、しかし、私には今年は夏休みはないのである。
うちの子どもが小学校6年生で、来年、中学受験をするのである。
よって、夏休みにどこにも行けないのである。
いい迷惑である。
「どっか行こうよぉ」と家でみんなに訴えてみたとしても、冷たい目でみんなに見ら
れるだけなのである。
「一泊でもいいからぁ、山でも海でもいいからぁ、行こうよぉ」とダダをこねてみて
も、「受験生は忙しいの!」と相手にもしてもらえないのである。
奥さまからは、「親の言うセリフじゃないでしょ」と、正座をさせられながら説教を
受けるハメになるのである。
「だったら、一人でどっかに行ってやるもん」と思うまもなく、「もちろん、一人で
遊んだりはしないわよね」と先手を打たれるのである。
夏休みがないのである。
ああ、去年はヨーロッパに行ったのに‥‥。
ま、そのおかげで、ヒマもなければ金もないのでしょうがないのである。
よって、私は家で空しくリゾートの本なんかを眺めているだけなのである。
しかしながら、今年は夏休みも冬休みもないのであるが、来年、受験が終わったら、
どこかに行きたいのである。
それで、「ねえ、ねえ、来年どこに行くぅ?」と楽しそうに話しかけるのだが、「い
まはそんな気分じゃないの。受験が終わってから考える」と切ないことを言うのであ
る。
受験が終わってから考えていたのでは遅いと思うのであるが、そういう発想は、い
ま、わが家にはまったくない。
しょうがないので、その日のために、パパは一人でいろんな国の下調べをするのであ
る。
先日、いま、私が持っている航空会社のマイル数を調べたところ、去年、使い果たし
たにもかかわらず、すでに18万マイルも貯まっているのである。
フフフ。
これだけ貯めれば、いろんなところに行けるのである。
フフフ。
私は個人的に海外旅行の良し悪しはホテルで決まると思っているのである。
かつてホテル・ジャンキーズ・クラブというクラブに入っていた私は、ホテルに関し
てはけっこううるさい。
とくに、ヨーロッパなどの歴史ある都市では、“伝統的なクラシカルなホテル”とい
う宣伝にどれだけだまされ続けたことか。
古い建物を利用したクラシカルな五つ星ホテルというのは、聞こえはよいが、基本的
に部屋はとても暗く、狭い。
昔、新婚旅行で、スイスのレマン湖のほとりにある、お城を改造した“シャトーホテ
ル”に泊まったことがある。
当時は四つ星ホテルであった。
お城に泊まれるのであるから、われわれはすごく期待したのである。
しかも、部屋が狭いのはいやだと思い、わざわざホテルに電話をかけ、部屋の平米数
まで調べ上げた。
35平米あるという。しかも、なぜか、安い。
部屋からはレマン湖が見渡せるというのに。
ものすごく期待した。
ところが、行ってみてびっくりしたのだが、お城がボロボロなのである。
建物の中に入ると、陰気でカビくさいのである。
エレベーターなんか、荷物用のエレベーターのようで、泊まる部屋がある階に着いた
ところ、真っ暗なのである。
ようやく部屋にたどりつき、中に入ったのであるが、出そうなのである。
もちろん、ウンコではなく、オバケの話なのだが。
ちょっとフロントまでなんて、怖すぎて行けないのである。
当然ながら、昨年は三つ星にランクが下がっていた。
また、カナダのカナディアン・ロッキーのレイク・ルイーズには、実名は伏せるが、
有名なシャトーホテルがある。
昔、ここホテルで湖を見渡せるスーペリアの部屋をとったのであるが、人気があるホ
テルなので、めちゃくちゃ高いのである。
そんなに高いくせに、部屋の中に入ったところ、大阪の某ホテルの別館並みなのであ
る。
関西の人には、その悲惨さが理解していただけると思うが、しかしながら、あなたの
理解を越えるほどの悲惨さなのである。
うちの奥さまが、わざわざフロントまで「この部屋はほんとにスーペリアなのか」と
確認を入れたほど、狭いのである。
一方、同じカナディアン・ロッキーでも、モレイン・レイクと呼ばれる湖のほとりの
ロッジは、ツインで1万円ぐらいで泊まれた。
しかしながら、部屋はスイートルーム並みに広いのである。
しかも、暖炉なんかがついていて、喜び勇んで、一生懸命、薪を燃やしたりして、安
いのに、とてもゴージャスな気分になれたのである。
ちなみに、ここは星もつかないようなロッジなのに、である。
いまや、インターネットでいろんなことが調べられる時代になったのであるが、昔は
とてもたいへんな苦労をしながら、部屋を厳選するのも楽しみだったのである。
そして、行く予定もない海外のホテルを調べながら、私の今年の夏休みは過ぎていっ
てしまうのである。
ああ、むなし‥‥。
2007年8月 4日 00:00