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2007年12月22日
約束の地をめざして Part1

12月10日の月曜日の朝、東京のヒーリングワーク・アドバンスの翌日にもかかわらず、私は8時に目覚まし時計の鳴る音で起きたのである。
ワーク明けにもかかわらず、とても爽やかな朝だったのである。
そして、まるで憧れの彼女との初めてのデートに向かうかのように、私の心はドキドキワクワクで満たされていたのである。

この日は月曜日で、メンタルは定休日である。
ふだんの日なら、自宅に帰るだけだからして、ひげも剃らない。
しかし、この日は入念にひげ剃りをし、朝からシャワーをちゃんと浴び、朝シャンなんかもしちゃったりしたのである。

たまたま仕事の都合で、スーツを着て東京に来たこともあり、お休みの日にもかかわらず、私はばっちしスーツでキメて、ホテルから空港に向かったのである。
そう、きょう、私はファーストクラスなセレブなのである。

日本航空は、12月1日より、国内線で初となるファーストクラスを作ったのである。
いまはまだ東京ー大阪の路線にしか設けられていないのであるが、本格的な革張りのシートでシャンパンなんかが出てきちゃったりするのである。
さらに、国際線同様、機内食が出るのである。
さらに、ファーストクラス専用カウンターでチェックインし、手荷物検査もファーストクラス専用レーンで、下々の人たちのように長蛇の列に並ぶこともなく、スイスイ通れちゃうのである。

しかし、通常運賃にプラス8,000円もするのである。
高い! 痛すぎる!
でも、8,000円を「高い」と思う人は、きっとファーストクラスには乗らないのであろう。

妄想旅行好きの私は、昔、ファーストクラスのことで恥をかいたことがあるのである。
「国際線のファーストクラスは、いったい、いくらぐらいかかるのだろう?」と思い、行くあてもないくせに格安航空券会社に問い合わせたことがあるのである。
たしか、ヨーロッパ路線だったと思う。

ビジネスクラスの格安航空券は出回っているので即答していただいたのだが、ファーストクラスの料金は問い合わせになるという。
私は、「ファーストクラスぐらい、しょっちゅう乗ってるもーん」というオーラを漂わせながら電話したのであるが、係の人からキッパリと言われたのである。
「なにぶん、ファーストクラスにお乗りのお客さまは、私どものような格安割引航空券はご利用になりませんので‥‥」
見事な返り討ちである。
バレバレである。
格安航空券でファーストクラスに乗ろうという、その根性が貧乏くさいのである。

こういう経験をしていたので、私は「8,000円なら払える!」と、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで予約を入れたのである。
しかしながら、私と同じことを考えていた人は世の中にどうも多かったとみえて、このクラス、予約が取れなかったのである。
よって、12月1日より発売されたにもかかわらず、ようやく10日になって、なんとか確保できたのである。

羽田空港に着き、私はおもむろにファーストクラス・カウンターに行ったのである。
しかし、日本航空の悪いところなのであるが、高いグレードのサービスを提供しようとすると、平均年齢の高い従業員を配置するきらいがある。
おばちゃんであった‥‥。

そして、憧れの“ファーストクラス様専用レーン”で手荷物検査を受けると、なんと、その先がいきなりラウンジなのである。
「おお! 憧れのダイヤモンド・プレミアム・ラウンジ!」

ここはふだんならば、年間70回以上、飛行機に乗るビジネスマンたちや、海外をしょっちゅう移動して、“ジェットセッター”と呼ばれたりする世界を股にかけたようなビジネスマンたちしか入れない、憧れの専用ラウンジなのである。

しかし、である。
普通なのである‥‥‥‥‥。

私はこのダイヤモンド・プレミアム・ラウンジには、きっとバニーちゃんやハイレグ水着のレースクイーンのようなおねえさんがいたりして、きっと横に座って、「あーん」などと接待してくれるものだと思っていたのだが、普通のラウンジとなにも変わらないのである。

国際線のビジネスクラスのラウンジには、サンドイッチやフルーツなどの軽食が用意してあるのであるが、おいおい、このラウンジ、私がいつも使うラウンジと同じく、おかきのおつまみセットしかないではないか。
唯一の違いは、飲み放題のビールの種類が3種類と多いことだけなのである。

さすがにこんなに朝早くからビールは飲めんぞ。
ガッカリしたのである。
失望したのである。
なんのために、朝シャンまでして、ひげを深剃りしてきたのであろう。
バニーちゃんよ、いずこに‥‥。

しかし、あることに気づき、私はふたたび希望の光に包まれたのである。
そうだ!
ここは手荷物検査のあと、すぐに入ったラウンジではないか。
たしか、私がいつも行くさくらラウンジには、ダイヤモンド・プレミアム・ラウンジの入口があったではないか!

なーんだ。
ここはきっと、「手荷物検査、おつかれさま? よかったら、一杯どうですか?」というラウンジなのだろう。

ということは、あのいつも行くラウンジにある開かずの扉の向こうに、きっと、バニーちゃんがいるはず‥‥。

私は約束の地に向かう巡礼者のように、トランクを引きずり、あの場所へと向かったのであった。

次週に続く。

2007年12月22日 12:46